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海底三百ミリメートル・実践編 [12] 
水槽の大掃除とサイズアップ

 

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「三百ミリメートル水槽」を立ち上げてから1年が経ち、
クマノミ2匹は順調で、特に大きな変化もなくなりましたので、
この辺で一度、底面濾過の大掃除を兼ねて、水槽のサイズアップをすることにしました。

と言っても、今回使用するのも40cm水槽(^_^;;。
ホームセンター価格でわずか500円程度のグレードアップです(^_^ゞ。

ただし、それでも水量は2倍以上。
サイズアップした後の水槽の様子を見ると、
この様子なら繁殖も不可能ではないように思われますので、
今後はしばらく、「40cm水槽でのクマノミ繁殖」を狙おうかと思います(笑)。

このページで今回の大掃除&サイズアップの手順を、順を追って説明しますので、
同じような小型水槽の大掃除や、水槽の真サイズアップをお考えの際には
参考にしていただくと良いかと思います。

 

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用意するもの
 
正直、特別なものは何一つ必要ではありません。普段の水槽のメンテナンスで使うものばかり。
ただし底砂ストック用のザルは必需品です。これだけは新たに用意する必要があるかもしれません。

1. 新しい水槽 今回は、近所のホームセンターで、「金魚飼育セット(L)1,780円」を購入してきました。横幅40cmの小型ガラス水槽とプラスチックのフタ、エアレーションセット、プラスチックの水草、金魚の餌等がセットになっているものです。
個別に売らている小型ガラス水槽を購入しても良いのですが、バラ売りの場合、40cmガラス水槽は水槽単体で1,980円程度です。「金魚飼育セット」はフタもついて1,780円でしたので、こちらの方がずっとお得ですね(笑)。ただし、今回は水槽とフタ以外には使用しません。

またもちろん、水槽のサイズアップではなく、単なる大掃除の場合には、新しい水槽を用意する必要はありません。

2. 追加用底砂 水槽がサイズアップしますので、底砂も追加が必要です。
水槽を大きくサイズアップする際には、底面板の追加、もしくは交換も必要になるでしょう。(今回は私は、底面板の追加はしませんでした。)

もちろん、これも、単なる大掃除の場合には必要はありません。

3. 水槽を洗うためのスポンジ 普段の苔取り用の掃除道具で十分です。
ただし、普段、食器洗いなどに使用していて、洗剤が着いている物は使用しないで下さい。

4. プラスチックのザル 底砂を一時ストックしておくために使用します。必ず必要です。
2つあると便利です。

5. ヒーター&エアレーションセット 生体と海水の避難用バケツで使用します。
また、新しい人工海水の温度合わせにも使用しますので、通常使用しない予備のセットがいくつか、用意されていると便利です。

6. 底砂スコップ 小型のタッパーなどで大体出来ますので、特に必要ではありませんが、あると便利です。ペットショップなどで売っています。(無意味に高いですけどね。笑)

7. 新しい人工海水 大掃除をするだけでも、どうしても飼育水を破棄する部分がありますので、人工海水の容易は必要です。出来れば水槽一杯分、用意しておくと安心でしょう。

8. バケツ等 生体と飼育水の避難用に使います。普段、メンテナンスの際に使用するもので十分です。

   
具体的な作業の様子
 
具体的な作業の様子は、ほぼ、以下の通りです。
水槽の大きさや設置環境などによって、若干変わるところがあると思いますので、このケースを参考にして、事前によく、手順をシミュレートしておくことをお奨めします。

1.

底砂洗いと消毒

       
      まず、新しく追加する底砂をよく荒い、ゴミや汚れを落とします。
前回、「三百ミリ水槽」を立ち上げた時には、この洗浄が不十分であったためか(?)、水槽を立ち上げた後、緑苔の大発生に見舞われましたので(詳しくは「立ち上げ記録[1]」をご覧下さい。)、今回は念のため、煮沸消毒しました。

なおまた、今回の追加の底砂は、以前、別水槽を片付けたときに余ったものをストックしていたもののため、底砂に最初から、苔がついています。このように、過去に使用した事のある底砂を再使用する場合には、底砂の中にどのような成分や胞子などが付着しているか分かりませんので、必ず煮沸消毒される事をお奨めしておきます。
 
           
2.

生体の移動(避難)

       
 

    次に、現在使用中の飼育水槽から、出来るだけ沢山の飼育水を汲み出して、バケツ等に入れ、その中に飼育生体(ウチの場合はクマノミ)を一時的に避難させておきます。
この際には、LRも取り出し、飼育生体と同様、避難させておきましょう。「ワンタッチフィルター」の場合などには、フィルターバッグも生体と同様の扱いです。同じバケツの中に避難させておきます。(フィルターの交換はしません。)

またこの時、作業が長引くと思われるようでしたら、予めヒーターを用意し、保温して、エアレーションを掛けておきます。「金魚セット」に付属しいいるエアレーションセットが、早速役立つかもしれません(笑)。
 
 

    飼育水を汲み出し、フィルターバッグも外した飼育水槽です。
実はイソギンチャクがガラス面に活着していて、これらをはがすのが「一苦労」でした(^_^;;。
これに時間が掛かる事を見越して、「避難バケツ」には、あらかじめ、ヒーターとエアレーションをセットしておきました。
 
           
3.

底砂の取り出しとストック

       
 

    生体と飼育水を非難させた水槽から、底砂を取り出します。
「底砂用スコップ」などを使うと便利です。

ガラス面に活着していたイソギンが、哀れに垂れ下がってしますなあ…(^_^;;。
 
 

    水槽から取り出した底砂は、プラスチックのザルに入れてストックしておきます。
この後の作業の間、底砂が酸欠になることを避けるために、底砂をストックしておくのは必ず、ザルを使用してください。底砂をバケツの中などに入れてしまうと、バケツの底部側の底砂が酸欠になり、底砂に付着した濾過細菌が死んでしまいます。

また「水槽の大掃除」とは言っても、底砂を洗う必要はありません。
底砂を水槽から取り出すだけで、十分、「洗った」ということになります。
この底砂に水道水などを掛けないよう、十分に注意して下さい。
 
           
4.

底面板の取り外し

       
 

    ちょっと分かり難いですが、水槽底部の右側の底面板が見えてきました。
この時には既に、水槽の中に残った飼育水が濁って、真っ黒になっています。ただし、既に生体は避難させてあるわけですから、気にする必要はありません。

また、水槽に「偽デニ弁当」などをセットしている場合には、この時に同時に取り出してしまいましょう。中からきっと、真っ黒な水が排出される事と思います。
(すみません(^_^ゞ。「偽デニ弁当」の写真は撮ってありませんでしたm(_*_)m。)

水槽から取り出した後、底面板やフィルターケースなどは、苔を落とし、水道水で洗浄しておきます。
 
 

    残った飼育水です。真っ黒です。水槽内部も汚れています。  
           
5.

水槽の洗浄

       
 

    水槽を洗います。
水槽をサイズアップする場合には、一番最初に新しい水槽を洗っておくと良いでしょう。
水槽の大掃除の場合には、底砂を全て取り出した後で、残った黒い飼育水を捨て、水槽を洗います。

なお、この写真では、左側に灯油タンクが見えていますが、実はこの中に新しい人工海水が入っています。その「人工海水タンク」の中に、サーモスタット一体型のヒーターを入れて、元々の飼育水槽の水温と同じ温度にまで、新しい海水を温めています(海水の温度合わせ)。
冬場には新しい海水の温度を上げるのに時間が掛かりますので、この温度合わせの作業も、事前にしておくと良いと思います。
(今回の私のばあいには、実は、この2つの作業は、全ての作業の前に、一番最初に行っています。)
 
           
6. 新水槽のセット        
 

    「三百ミリ水槽」の時と同様に、新水槽のフィルター、底面板、「偽デニ弁当」をセットします。
今回は水槽が少し大きくなりましたので、フィルターのセット位置を、水槽背面から側面に変更しています。
(前回の(「30cm水槽セッティング写真」も参考にして下さい。)
 
           
※. 「偽デニ弁当」通水性向上        
 

    諸々の状況から、今回、「偽デニ弁当」の通水性を向上させた方が良いのではないかと思われる部分がありましたので、「偽デニ弁当」を全て取り出し、リセットして、穴を広げ、数も増やしました。
(前回の(「30cm水槽セッティング写真」も参考にして下さい。)

なお、「偽デニ弁当」内部の「ナイトレイトマイナス」は、1年間の使用で当初の半分程度の大きさになっていましたが、まだまだ使えるものと思われました。
(ただし、今回は再び、全て新しいものに取り替えています。)
 
           
7. 底砂のセット        
 

    底砂のセットに当っては、水槽のサイズアップの場合、まず、新しい底砂が下側になるように、先に新しい底砂をセットします。その上に、上記の「3.底砂の取り出しとストック」の工程でストックしておいた底砂を、そのまま、新しい水槽に戻します。

なおこの間、ストック中の底砂は一切、洗浄しません。取り出しただけです。ザルの中の底砂は、表面の砂が少々乾いても、内部には十分な水分がありますので、底砂に着いた濾過細菌はそのまま、生存しています。

またサイズアップでなく、単なる大掃除の場合、取り出した底砂をそのまま、洗浄し終わった水槽に戻すだけです。
 
           
8. 新水槽への注水と試運転        
      底砂をセットし終わった新水槽は、水槽の設置場所へ移動し、まず新しい人工海水を水槽の半分程度まで、注水します。

以前から使っていた水槽の底砂は、洗浄していませんので、この時、新しい海水を注水した後の水槽内の海水は、元々の底砂についていたデトリタスでかなり濁っているはずです。

その後、ヒーター&サーモをセットし、水槽の半分程度の水量のままで、フィルターとヒーターの試運転をします。
 
           
9. そのまま試運転(1〜2時間程度)        
 

    水槽の半分程度の水量でフィルターが正常に運転するようなら、そのまま、1〜2時間程度、試運転を続けます。
その間に、底砂のデトリタスが落ち着いて、水槽の中の海水が透明になってきます。

また、水槽内の海水の温度も、以前の水槽と同じ温度になるはずです(温度合わせ)。

なお、もし水槽に入れた海水の量が少なくて、フィルターのポンプが海水を吸い上げられないような場合は、適宜、海水を継ぎ足してください。
もし「2.生体の移動(避難)」でバケツに移した古い飼育水に余裕があるようでしたら、この継ぎ足しの水にはバケツの中の古い海水を使用します。海水自体は、なるべく、古い海水をそのまま、使用したいからです。
 
           
10. 生体、LR、飼育水を戻して作業完了        
 

    1〜2時間(実際にはそこまで掛からないと思いますが)の試運転の後、水槽の中の水が透明になったら、生体とLRを水槽に戻し、バケツの中に残った古い飼育水も全て、新しい水槽の中に戻します

生体の様子に特に変わった事がないことを確認して、すべの作業が完了です。
 
           
※. 新しい水槽の様子        
 

    水槽の幅が10cm、大きくなったので、ライトの幅が合わなくなりました。
そのうちライトは作り直そうと思っています。
 
 

    バケツに避難させられたりなどで、若干怯えているのか、最初、2匹のクマノミはイソギンに寄り添って、あまり泳ぎ回りませんでした。
旧「三百ミリ水槽」では、体の大きな“シリキレ”の方が、体の小さな“カチューシャ”をイソギンから排除しようとしていましたが、やはりストレスが加わったためか、以前より仲良く、暮らしているように見えます。これが契機になって、繁殖してくれないかなあ…(^_^;;。
 
   
注意点
 
1. 大掃除のタイミング
  水槽の大掃除なんてものは、実は必要ないという意見もあります。私もかなり賛成です。
少なくとも1年に一回以下、半年程度で大掃除が必要な状況になるというのは、日々の給餌やメンテナンス(底砂の部分掃除や換水)などに問題があると思って下さい。
大掃除は生体にとっても大きなストレスです。少なくとも1年以上の間隔を空けて、生体の調子の良い時に行いましょう。
   
2. 底砂、フィルターの扱い
  「大掃除」や水槽のサイズアップというと、底砂やフィルターバッグまで洗ったり、交換したりすると思うかもしれません。しかしそれは間違いです。
大掃除やサイズアップの際に最も気をつけなければならないのは、できるだけ以前と同じ環境を維持する、という事なのです。
ですから、「水槽の大掃除(サイズアップ)」をするときには、底砂は洗いません。フィルターも洗いません。交換もしません。飼育水も、出来るだけ、元の水槽の飼育水を使います。洗うのは底面板やフィルターケースや水槽のガラス面。新しく追加するのは足りなくなった分の海水や底砂、そう考えてください。
   
3. 底砂のストック方法
  「大掃除」や「サイズアップ」の作業中、取り出した底砂は必ず、ザルに入れてストックして下さい。バケツでは酸欠になり、底砂に着いた濾過細菌が死にます。底砂が乾燥してしまうのではないかと恐れるのでしたら、時々、上から飼育水を降りかけてあげれば十分です。バケツの底で水に使って酸欠になるよりも、空気中で湿り気のある状態に置かれていた方が、濾過細菌にとっては良い環境です。
   
4. 海水の温度合わせ
  作業を通じて、生体を移動させる飼育水の温度合わせは慎重にお願いします。
「元の水槽」→「避難バケツ」→「新水槽」と移動する間に、大きく水温が変化すると、飼育生体にとって大きなストレスとなります。特に水量の少ない避難バケツは温度変化も大きいので、冬場、夏場の作業は要注意です。

以上が、今回の私の水槽のサイズアップ
(「海底三百ミリメートル」から「海底四百ミリメートル」へ。笑)
の作業の全容です。
水槽の大掃除や、サイズアップをお考えの方は、参考にしてください。
また分からない事は、
掲示板などでお問い合わせいただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。

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