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カクレクマノミ繁殖ノウハウ集 [3] 産卵〜孵化までの変化 |
ペアが出来たら、次は産卵です。
産卵の準備行動から卵が孵化するまでの過程を、
順を追って説明します。
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■ | 1.産卵の時間 | |||||||||
産卵は我が家のペアのばあいには、たいてい、夕方〜深夜にかけて行われました。 また産卵の間隔は2週間〜3週間おきくらいで、余り一定していませんでした。前の卵が孵化して数日で再び産卵することもあれば、少し間が空くこともあります。 |
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■ | 2.産卵する場所 | |||||||||
一般的に「マイホーム」にしているイソギンチャクの触手の端が触るくらいの場所のライブロックなどに、産みつけることが多いようです。(我が家もそうでした。) 一度産卵する場所を決めると、その後は同じ場所に産み続けると言われています。 ただ、必ずしもイソギンチャクが必要ということではないようで、イソギンチャクなしでも、水槽内のパイプや植木鉢などに生みつけた、という例も多いと聞いています。 |
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■ | 3.産卵の準備行動 | |||||||||
産卵が近づくと、クマノミの夫婦は揃って、産卵場所の掃除を始めます。 掃除は、口で岩の表面をかじるようにしますので、掃除が終わった後の夫婦の口元を見ると、白くただれたようになっていることもあります。「すり傷」になってしまうのです。 この「お掃除」は、だいたい、産卵の前日くらいの感じです。 |
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■ | 4.産卵当日の様子 | |||||||||
産卵の数時間前には、夫婦のお尻から産卵管と精輸管が出ているのが分かるようになります。 同じころ、オスの方は一生懸命、イソギンチャクの触手に噛み付くような行動をしている場合があります。産卵場所は、そのままではイソギンチャクの触手が届く範囲ですので、その触手に噛み付いて縮めさせて、卵の部分には触手が触れないようにするのではないかと思います。 ただし、実はこれが何のためかは、私にはもうひとつ分かりません。 |
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■ | 5.産卵行動 | |||||||||
やがて準備が整うと、メスが産卵場所にお腹をこすりつけるようにしながら、身体を震わせます。 カクレクマノミの場合、卵は長径2mm、短径1mm程度の楕円形で、細長い、黄色の半透明の色をしています。 産みつけた後の卵には早速、オスが胸ビレで煽るようにして、新鮮な海水が当るように世話をします。 |
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■ | 6.孵化までのお世話 | |||||||||
卵が孵化するまで、卵の世話はほとんど、オスの役目です。 一方、オスの方はほとんど不眠不休で、卵に新鮮な海水を送り続けます。この間は餌をあげてもオスはほとんど食べに来ません。特に孵化が近づいてくると、餌などには目もくれないようになります。 卵塊の中には無精卵や死んでしまう卵もあるようで、そのような卵はオスが間引きをします。 |
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■ | 7.孵化までの卵の変化 | |||||||||
最初は綺麗な黄色〜オレンジ色だった卵が、数日後には茶色〜黒っぽくなり、目立たなくなります。 また卵塊全体の姿にも変化があります。最初は卵の向き全体が揃っていて、毛並みの良い絨毯のように見えますが、孵化直前の卵の向きはバラバラで、卵塊全体にもまとまりがありません。 卵がそんな感じになって、オスの「お世話ダンス」が激しさを増せば、そろそろ孵化。
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■ | 8.孵化の様子 | |||||||||
産卵は明るい時間帯にも行われますが、卵の孵化は水槽が真っ暗になった後と決まっています。 もっと早い時間に孵化をさせるためには、早めに水槽の電気を消し、部屋の電気も消して、水槽内を真っ暗にしてやります。厚手の黒布などで水槽を覆っても構いません。 一度に全部の卵が孵化せずに、少量(10とか20とか)の卵が残ってしまうことはありますが、一時間待ってもほとんどの卵が残っており、稚魚が泳いでいなかったら、本格的な孵化は次の日でしょう。いったん部屋を明るくして、次の日に備えてください。 孵化の瞬間は、真っ暗な中で行われるので、私も直接、見たことがありません。 |
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以上がカクレクマノミの産卵から孵化までの様子です。
クマノミの産卵から孵化までの日数は、
我が家の場合にはほとんど、9日間と決まっています。
(1日程度の前後はありますが。)この日数は飼育環境によって変わるようですが、
飼育環境が変わらなければ、だいたい同じになるそうです。
稚魚を育てる時には、稚魚を採取する前に、一度、
産卵から孵化までをじっくり観察し、
日数を数えておくと良いでしょう。
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