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磯採集の注意点
〜 安全で楽しい磯採集・磯遊びのために 〜

 

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磯採集や磯遊びは楽しいレジャーですが、
そこで事故やトラブルが起きてはせっかくの楽しい思い出が台無しです。
特に小さなお子さんと一緒に遊ぶ時には、
親御さんはお子さんの安全について十分な配慮をする必要があると思います。

磯採集や磯遊び、あるいは海水浴などでも、共通する注意点をあげますので、
良くご覧頂いて、安全に楽しんでいただきたいと思います。

 

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1. 事前の準備をしっかりしよう
  事前の準備は、
(1).情報の準備
(2).道具の準備
という、2つの準備に分かれます。いずれもこのサイトの中で、「磯採集の事前準備」「磯採集の持ち物」としてまとめてありますから、具体的な内容はそちらをご覧下さい。

情報の準備も道具の準備も、面倒ですし、ある程度はお金が掛かります。道具の準備については荷物が大きくなって面倒だ。ということもあります。
しかし、我々の多くは海沿いに住んでいる訳ではありませんから、海況が良い時にはいつでも海に行ける、という訳ではありません。少ないチャンスに海に行くのに、僅かのお金や時間、手間を惜しんだために、海で十分に楽しめなかったとしたら、その方が「もったいない」のではないのかな?と、私は思います。
十分に、そして安全に磯採集や磯遊び、海水浴などを楽しむためには、まずは事前の準備をしっかりとすることが、その第一歩になるということをよくご理解下さい。
   
2. 満潮・干潮の時間に気をつけよう
  磯では常に時計を身につけて、「これから干潮に向かうのか、それとも満潮に向かうのか」を把握しておいて下さい。満潮と干潮とでは、磯の水深は大きく変化しますから、干潮の時には安全に渡れる岩場も、満潮時には波が洗って危険な事があります。
基本的には「満潮→干潮」に向かう時間帯に沖に向かって活動領域を広げ、潮が満ちてきたら逆に岸へ、岸へと移動していく事で、安全が確保できます。逆に「干潮→満潮」の時間帯に沖に向かって移動していくと、帰る頃には水深が深くなっていますから、自殺行為です。

改めて書けば当たり前の事ですが、磯で夢中になっているとついつい、そうした基本を忘れがちになります。満潮と干潮の時刻を把握していないなどと言うのは論外ですから、その点は事前の情報収集を怠らないようにして下さい。

また、「満潮→干潮」に向かう時間帯と「干潮→満潮」に向かう時間帯では、潮の流れが反対になることも良く見受けられる現象です。
満潮/干潮の時間と現在時刻を把握する事で、数時間後の潮の流れを予測する事も出来ますから、そのためにも、満潮/干潮時刻の把握は大切です。
満潮・干潮時刻は下記のサイトなどで調べましょう。

【参考サイト】  
 

海釣り総合サイト 釣りの窓口

潮汐表

http://www.saltwater.jp/tide/

 

Fishing-Site

潮時表

http://www.fishing-site.com/tide/index.html


【 満潮と干潮の違い 】

同じ日の同じ場所でも、わずか数時間の間に、こんなに条件が変わってしまいます。
この満潮・干潮の時刻を把握していないと、大変な事になります。
[ 午前9時 ]
満潮の2.5時間後。
水深が深くて(1m以上あります。)、
手前の岩場から向こう側の岩場へと、
移動することは出来ません。
[ 午後1時 ]
干潮の1時間前。
水深が浅くなり、歩いて渡ることが出来ますが、
この数時間後には再び、
左の写真のような状況に戻ります。
   
3. 潮の流れに気を付けよう
  誰もが波には気をつけるでしょうが、それだけではなくて、海の中にも潮の流れがあります。ちょっと見ただけでは分からない事も多いですが、良く気をつければ大抵の磯でも、大きな潮の流れがあることに気付くでしょう。水上や水中を移動するには、この潮の流れを上手に利用することが大切です。

沖に出る時には潮の流れに逆らうようにして泳いで行き、帰りには潮の流れに乗って岸へと泳ぎつくことが出来るように考えて行動すれば、安全に、楽に、海&磯で活動することが出来るようになります。

また、地形の変化などで、部分的に急に流れが速くなったり、あるいは沖へ一気に流されてしまうような場合もあるかと思います。そのような場合には、無理に流れに逆らって泳いでも体力を消耗するだけになってしまいますので、流れに逆らわずに泳いで、激しい流れから脱出するようにして下さい。

なお、潮流に逆らって移動する場合には、泳いで移動しようとすると非常に疲れます。流れに逆らって移動する必要がある場合には無理に泳がずに、周囲の岩などに手や足をついて、這うようにして移動すると良いでしょう。逆に流れに乗って移動する時には、下手に手や足を付いたりせず、身体の力を抜いて、流れに身を任せるようにすると、不要な怪我をしません。
   
4. 風の変化に気をつけよう
  特に浮き輪やボートなどの浮き具を使っている場合には、風に対して十分な注意が必要です。
浮き輪やボートなどは、少しの風であっという間に流されてしまいますから、お子さんを浮き輪に乗せてスノーケリングしていて、顔を上げたらずっと遠く離れていた、などということがあります。

この風に対する対処も基本は潮の流れに対する対処と同じで、「行きに向かい風/帰りは追い風」が原則です。また、浮き具を常に自分より風上の方向に置いておくことを心がける必要もあるでしょう。

ただ怖いのは、途中で風向きが変化していることに気付かない事です。
海岸近くの風は基本的には、早朝には「陸→海」へ、日が昇って陸地が暖められると「海→陸」へ、そして夕方になって陸が冷えてくると再び「陸→海」へ、と、1日の中でも何回か、風向きや風の強さが変化していくものです。このことを忘れていると、思わぬ方向から風が吹いてきて、沖のほうへと流されてしまう事もあります。潮の満干、潮流の変化と同じ様に、風向きの変化にも注意をするようにしましょう。
   
5. 足元に注意しよう
  磯採集/磯遊びをする中で一番怪我をしやすいのは、足元が滑って転ぶことではないかと思います。当たり前の事ですが、足元には常に十分に注意して下さい。ポイントは以下の6点です。

(1). 磯採集/磯遊びに適した履物を履く
  磯採集の持ち物」の内容と重なりますが、ビーチサンダルでは滑りやすいですし、水の中の移動も困難です。磯採集/磯遊びには向きません。必ず、マリンシューズやダイビングブーツなど、磯での活動に適した履き物を履きます。
また、靴底が薄いものですと、ウニのトゲが貫通することもありますので(実体験あり…(^_^;;)出来るだけ靴底が厚いものを選ぶと良いと思います。
   
(2). 苔が生えた場所、濡れた場所、尖った岩の上などは、出来るだけ避ける
  苔が生えて濡れた岩の上などは非常に滑りやすく、まったくグリップが効きません。たいてい、必ずすべる事になりますから(^_^;;、出来るだけ避けます。
また、尖った岩の上なども靴底が岩に刺さって危険な事があります。
   
(3). 生き物の上には乗らない
  ウニの上に乗ればトゲが靴底を突き破って、足を怪我することがあります。海藻の上に乗れば滑りますし、海藻の下に岩があると思っていたら、実は海面に漂っていただけかもしれません。南の海でサンゴの上に乗って体重を掛ければ、もろいサンゴはすぐポキポキと折れて足場が失われてしまうでしょう。
このように、動物・植物に限らず、生き物の上に足を乗せ、体重をかけるのは非常に危険です。足場とするのは出来るだけ大きな、硬い、岩の上にするようにしましょう。
   
(4). 不安定な石の上などには乗らない
  時々、グラグラと動く石の上に乗って遊んでいる子供を見かけます。気持ちはわかりますが、危険、この上ありません。
そうでなくても、一見、安定した石のように見えて、大人が体重を乗せたとたん、グラっと動いてひっくり返ってしまう、などということも、決して珍しいことではありません。特に水中にある石は、重力の影響が弱くなっていますから、非常に不安定になっています。足場にするのは出来るだけ大きな、頑丈な岩を選ぶように、心がけて欲しいと思います。
   
(5). 時には手をついて移動する
  足元が不安定な場所を移動するのですから、時には積極的に、手をついて安全を確保します。無理にバランスを取ろうとしてヨタヨタするよりは、むしろパッと手をついて、「四つんばい」になって移動して言った方が、ずっと素早くてスマートな場合もあります。

もちろん、平坦で安全な場所で無闇に「四つんばい」になる必要はありませんが、手をついた姿勢は銃身が低いですから、立ち上がった姿勢よりずっと安定しますし、もし万が一その姿勢から転んだりしても、大きな怪我になることはありません。起伏のある場所、狭い場所などを移動する場合には、積極的に手をついて、安全を確保するようにして下さい。
   
(6). 周囲を良く見て、最適な移動ルートを選ぶ
  磯では「何かいないかな?」と思って、足元を見ることが多いと思います。しかし移動のときにも足元ばかり見ていると、却って危険な場所に迷い込んでしまう事もあります。
足元を良く注意する事はもちろんですが、それだけではなくて、時にはしっかりと顔を上げて、周囲の地形や潮、波、風などの状況を把握しましょう。その上で最も楽で、安全なルートを選んで移動していくことが必要だと思います。
   
6. 危険生物に気をつけよう
  磯や海での危険生物は大きく2種類に分かれます。
一つはクラゲなどの「刺す生物(非常にしばしば有毒)」。もう一つがウツボなどの「噛む生物」です。我々はついつい、「噛む生物」のことばかり考えますが、実は被害は「刺す生物」の方が圧倒的です。
代表的なものとしては「カツオノエボシ」「アンドンクラゲ」などのクラゲのほか、「ガンカゼ」「ラッパウニ」などのウニ、「ゴンズイ」「オコゼ」などの魚類、「シロガヤ」「イラモ」などの刺胞動物があげられます。

磯や海での危険生物に付いての具体的な説明は長くなりますので、ここでは具体的な説明は避けますが、「磯 and 危険生物」や「海 and 危険な生き物」などでWEBを検索すると、下記のサイトの他、沢山のWEBサイトがヒットします。海に行く前に是非一度、検索して、一通りの知識を得て下さい。

【参考サイト】  
  串本海中公園のページ 危険な生き物 http://www.env.go.jp/nature/nco/kinki/kushimoto/kikennna.htm
  ダイバーの屋久島移住日記 海洋危険生物 http://www.onyx.dti.ne.jp/~taka-mai/danger.htm
   
7. 体力の消耗に気をつけよう
  磯や海で遊んでいると意外に体力を消耗します。特に「日焼け」「水分補給の不足」「冷たい水によって体温を奪われる」などのことがあると、急激に体力を消耗して、疲れ切ってしまいます。
磯や海では

(1). ラッシュガードの着用やサンシェードの使用によって日焼けを避ける
(2). のどが乾く前に、先手先手の水分補給を心がける
(3). ウェットスーツを着用したり、水中にいる時間を短くする、また陸上では濡れたものを着替える、などによって、体温の低下を防ぐ

などで、体力を消耗しないよう、気を付けましょう。

   
8. 漁業者や釣り人とのトラブルに注意しよう
  これは「注意事項」と言うよりも、「禁止事項」というべきかもしれませんが、磯採集を行う際には、漁業者の方々や釣り人とトラブルを起こさないよう、細心の注意を払って下さい。

これには2つの段階があって、まず、サザエ、アワビ、トコブシやイセエビなどの採取など、漁業者の方々の漁業権を侵害する行為は、もちろん「厳禁」です。
ただし、問題はそれにとどまらず、そのような行為を行っていなくても、例えば近くで養殖をしているとか、あるいは違いの放流をしているなどの場合、網などを持って磯に入ること自体、咎められる事があります。また実際、私自身が経験したことですが、磯に打ち捨てられていた(と思われた(^_^;;)カジメ(ワカメのような海藻ですが、普通は食用にはしません。)を動かしただけで、地元の方に怒られたこともあります。(後で聞くと、これは地元の方が畑の肥料にしようと考えていたものだったそうです。)また、磯採集のためにスノーケリングなどをしていると、知らず、釣り人が糸を垂れている場所に近づいてしまい、陸上の釣り人から怒声を浴びせられることもあるかもしれません。

このような場合、いくらこちらが悪いことをしていなくても、あるいは単なる不注意でしかなくても、あるいは、客観的に見れば単なる“言い掛かり”や“横暴”であると思われる場合でも、決して反論したり、無視したりしてはいけません。このような場合には、とにかく謝って、さっさと撤収して下さい。磯採集などというマイナーな行為を、しかも遊び(趣味)でしようとする人間が何を言い返しても、問題は問題は解決しません。こじれるばかりなのです。

中には、「漁業権を持っている漁業者の方に注意されるのは分かる。しかし、釣り人は同じ遊漁者ではないか。それならば権利は同等にある。」と主張される方もいらっしゃるかもしれません。その主張は正しい部分があるのかもしれませんが、しかし、「釣り」は歴史と伝統もあって、既に趣味として確立されたものです。釣り人の人口と磯採集を趣味とする人の人口を比べても、比較にはなりません。そこで争っても、磯採集を趣味とする者にとって、何の利益にもならないのです。ましてや、そこでトラブルになったことによって、そのエリアが「磯採集禁止」などになったら、ばかばかしいではありませんか。

いささか卑屈であるとは思われるかもしれませんが、磯採集というマイナーな趣味を長く楽しむためには、法的に正しい権利を持つ漁業者の方々と、慣習上の既得権益を持つ釣り人との間で、決してトラブルを起こしてはいけません。何かあっても是非、“大人の対応”をお願いしますm(_*_)m。

   
9. 採集情報の公開は慎重に
  このWEBサイトをご覧になっている方は当然、インターネットユーザーですから、ご自分が磯採集に行かれた際の感想や成果などを、インターネット上のBBSなどに投稿されたり、あいはご自分のホームページ、ブログなどに公開されることがあると思います。ただし、その場合には、採集場所を具体的に特定できる情報の公開などは出来るだけしないよう、注意しましょう。

ご自分が楽しんだ採集の成果を、同好のお友達と共有したいと言う気持ちは良く分かりますが、WEBサイト上で「○○の生体を××の場所で採集した。」という情報が一般に流布されると、それを見た多くの方が一度に一ヶ所に集まり、結果として海を荒らしてしまうことがあります。
また、世の中には善意の人ばかりではありません。WEBサイト上で集めた情報を元に、業者が特定の生体の乱獲を行ったこともあったと聞いています。
そうした行為に加担することがないよう、WEB上での情報公開は慎重にお願いします。

なお、同じ理由で弊サイトでも、私が磯採集を行う、具体的な採集ポイントの公表は行っていません。また、掲示板やメールなどでお問い合わせいただいても、お答えすることが出来ません。その旨、ご了承下さい。

 

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以上は磯採集や海水浴に行く際の、最低限の注意事項だと思います。
このページだけではなく、ここでご紹介したリンクページなども良くご覧いただいて、
十分な情報を集めた上で、安全に海を楽しんで下さい。

 

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