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放蕩見聞録・水族館篇 [10]
マリンワールド海の中道

 

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基本情報 (2006.01記入)
 
  所在地 〒811-0321 福岡市東区西戸崎18番28号
  アクセス
  • 天神郵便局前から西鉄バス「天神(アイランドシティ)海の中道線」で30分(土日祝日のみ)
  • JR博多駅から鹿児島本線で香椎駅まで11分。JR香椎線にのりかえ、海の中道駅まで20分
他に博多港「ベイサイドプレイス」や、「シーサイドももち」などからの渡船もあり。
いずれも本数が少ないので、時刻表を確認して行動することをお勧めします。
  電話番号 092-603-0400
  営業時間 9:30〜17:30 (3/1〜7/19)
9:00〜18:30 (7/20〜8/31)
9:30〜17:30 (9/1〜11/30)
10:00〜17:00 (12/1〜2/末日)
※最終入館は閉園の1時間前で終了
  定休日 年間無休
  入場料金 2,100円(高校生以上)/1,150円(中学生)/800円(小学生)/550円(4才以上小学生未満)
※インターネット割引券あり
※シルバー割引:1,680円(65才以上)
  公式サイト http://www.marine-world.co.jp/index.html
  水族館長のつぶやき http://www.mr-aquarium.cocolog-nifty.com/
(「マリンワールド海の中道」高田館長が公開しているブログです。)
   
独断と偏見による概要
 
  • 1989年4月オープン、1995年4月に大幅改装・増築して再オープンした、九州エリアを代表する巨大水族館です。
    エントランスロビーには、世界的にも非常に珍しく、学術的にも貴重な大型のサメ「メガマウス」の標本が展示されています。館内最大の「パノラマ大水槽」でも、全長3mを超える「シロワニ」が日本で初公開されている他、20種以上もの沢山のサメ類が泳いでいて、「サメの飼育数は西日本一」だとか。ホームページの割引券にもシロワニの写真が使われているなど、これらのサメの展示がひとつの“呼び物”になっているようです。
  • とは言え、「サメだけが売り物か?」と言うとそんなことはないわけで(笑)、高さ(深さ?)10mの円柱水槽(「吹き抜け水槽」)や、水槽の中に設置されたビデオモニターに飼育生物の生態の解説が上映される「生態ビデオ水槽」、エイやカブトガニの腹側を下から覗く事が出来る水槽など、他の水族館では見られない、様々な工夫が凝らされた水槽や展示が多いことも、際立った特色だと思います。
    水槽それぞれの生体解説が充実していることはもちろんですが、館内の「海のおもしろ科学室 マリンサイエンス・ラボ」に淡水魚と海水魚の同居水槽などの“実験水槽コーナー”があったり、周辺の学校関係者への協力や共同研究などにも積極的に参加するなど、見学者や地域住民への情報提供や教育・学習の側面に大きな力を注いでいる、非常に意欲的な水族館です。
  • ただし、一般見学者の立場でこの水族館を見学(見物?)した時に、この水族館の展示全体が“とても面白い”とか、“素晴らしい”とか感じるかと言うと、必ずしもそうとも言えない部分があったのも事実でして…(^_^;;。
  • 個々の水槽や展示をひとつひとつ見ていると、「なるほど!」と思ったり、「工夫しているなあ…。」と感心することが多いのですが、水族館全体としての印象はやや散漫なところがあり、この水族館が秘めている実力(って何だ?(^_^;)が、見学者には十分に伝え切れていないのではないかとも感じました。大きな水族館であるだけに、却って焦点を絞るのが難しかったのかもしれませんね。「この水槽は何のために置いてあるんだ?」と思うような水槽もありました(^_^;;。
    充実したホームページ(公式サイト)の内容などを見ても、この水族館の「研究教育機関」としての実力は十分に感じられます。それだけに少々残念、と言うか、「もったいないなあ…。」と感じた水族館でした。
  • なお、館内の自動販売機でチケットを購入して参加できる「バックヤードツアー」は、おざなりの“お客様向け見学コース”とは一味違います。水族館の職員の方が実際に作業をしているすぐ脇で、“本物のバックヤード”も見せてもらうことが出来ます。
    「えっ?良いの?」と思うような部分もあって、オススメですよ(^_^)v。
   
写真で紹介(2006.01訪問)
 

「マリンワールド海の中道」遠景です。「国営海の中道海浜公園」という、大きな公園の中にあります。
この写真では大きさ、広さがわかりませんが、広々とした芝生の前庭の向こうに、独特な形状の建物が聳え立って見えて、非常に立派な印象を受けます。この日は土曜日でしたが、冷たい雨。人が少ないのが寂しく感じるくらいでした(笑)。

ちなみに、「国営海の中道海浜公園」の中には、遊園地やらホテルやらプールやらテニスコートやらキャンプ場やら動物園やら、しまいには茶室まで(^_^;;、とにかく色んな施設が盛りだくさんにあります。その“テンコ盛り”な感じは、「マリンワールド」とも共通しているかもと思いますが(^_^;;、そう感じるのはまだ先の話です(笑)。


入ってすぐのエントランスロビーに、世界的にも貴重なメスのメガマウスの標本(ホルマリン漬け?)が展示してあります。

1994年の11月に博多湾の干潟に座礁した、全長481cm、体重790kgのメスのメガマウスで、世界でも7番目の発見。しかもそれまで発見された固体が全てオスであったことから、「世界で初めてのメスのメガマウスの標本」であり、また、多くの研究者によって詳細な研究が行われた最初の個体でもあるそうです。

つまりは科学史に残る貴重な標本であり、歴史的な遺産でもあるわけですね。


が、ホントに地味に、広いロビーにポツンッ!と、置かれているんですよ(苦笑)。

極めて貴重な標本なんですから、もう少し何とか、盛り上げる展示方法はないものかと思いました。奥のトイレに行く途中に横目で眺めるくらいで、じっくり見ている人もあまりいないしねぇ…(^_^;;。

どうせなら、沖縄「美ら海水族館」の「サメ博士の部屋」のように、サメ類専門の展示&解説コーナーを作ってくれれば良いのに…。と思いました。


でも一応、この水族館のマスコット・キャラクターはメガマウスの「メガトット」。
同じロビーに、「メガトット」のぬいぐるみが置いてあって、記念写真コーナーになっています。

「だったらもう少し、大切に扱ってあげようよ。」という話(^_^;;。


ミュージアムショップにも「メガトット」のグッズ類が売られているのですが、扱いはいまひとつ…。

公式サイト(ホームページ)での「メガトット」の扱いもいいかげんですし、どうも私の職業柄(←知っている人は知っている。笑)、こういうオリジナルキャラクターの扱いなどがぞんざいなのは、非常に気に入りません。

マーケティング・コミュニケーション部門の責任者は、至急、考えを改めた方が良いぞ(笑)。


さて、それはさておき…(^_^;;。

訪問したのは2006年の1月の上旬で、新年企画として「海の中の戌(いぬ)たち展」を開催中でした。
水槽の中にはイヌザメとか、コクテンフグ(英名:dogface puffer)とか、チンアナゴなどがいます。
今年のお正月には、同様の企画が日本中の水族館で展開されていましたなあ…(笑)。

ところでこの企画、エントランスロビーの「メガマウス」の標本と向かい合わせに設置されていまして、メガマウスより遥かに人気がありました(^_^;;。(←またその話かよ!)


エントランスロビー左手の階段を3階に上がると、本格的な展示コーナーの入り口がこの「トンネル水槽」です。「亜熱帯の海」ということで、サンゴ礁の海の生き物が展示されています。

ところが厳密にはこの水槽は、この水族館で見る最初の水槽ではないんですね。階段脇にもタッチプール風の水槽がありますし、階段を上がった正面にも、小さな水槽がはめ込まれいます。
ところがどちらも特別な魅力のない水槽ですので、「さあ、これから水族館に入るぞ!」というワクワク感が、却って削がれてしまうのです。しかも「トンネル水槽」の周囲が蛍光灯で明るく照らされているに至っては言語道断(笑)。
水族館のエンタテイメント性を高めるためには、最初の水槽の印象はとても大切だと思いますので、見学者の導線を再考した方が良いのではないでしょうか。


しかしその「トンネル水槽」が見るべきところもない水槽かというとそんなことも無いわけで、例えばこの給餌の工夫と解説。良く出来ています。
この水族館ではこの手の工夫や解説が充実していて、非常に面白いのです。

でも私には、この餌箱が「トンネル水槽」の中に置かれているのが分からない。
だってこんな工夫、「トンネル水槽」でやる必要がないじゃないですか(笑)。

そういう、ハード面とソフト面の整合性が取れていないことを、あちこちで感じます。


で、「トンネル水槽」を抜けると正面にこの「吹き抜け水槽」(円柱水槽)。水族館の2階から3階を吹き抜けて、直径2.7m、高さ(水深)10mの水槽が立っています。

ちなみに、こちら(「トンネル水槽」を抜けたフロア)は、3階。「吹き抜け水槽」の上部です。


水槽の脇から下(2階)の水槽底部側を覗くとこんな感じ。

ただし、泳いでいる魚は特に珍しい種類のものではありませんし(一般的な熱帯性海水魚)、3階部分だけ見ている限りは、何の特徴もない、ただの円柱水槽にしか見えません。
「イカやイワシがいるわけでもないのに、何で円柱なんだろう?」と思う程度。


で、ちょっと先回りして水槽底部を見るとこんな感じです。実際には展示順路の一番最後、外来生物や福岡の川のコーナーの真ん中に、熱帯性海水魚が泳いでいる円柱水槽が立っています。良く分からない配置でしょ?(苦笑)

私はこの水槽設計の経緯を知らないのですが、どうも、「こういう生物を飼いたい」とか「こういう展示をしたい」というコンセプトを詰めるより先に、とにかく水槽だけが作られてしまったのではないか?という印象を受けます。まず珍しい水槽を作るのが目的で、後からどんな展示をするか考えた(というか、実はあんまり考えていない?苦笑)感じ。

せっかく水深10mもあるのですから、垂直日周移動する生物を見せるとか、高さ(深さ)を上手に使うことを考えれば、もっと面白い展示が出来ると思うのですが…。


ところがそんな文句を言っていると、次にはまた面白い水槽が出てくるのがこの水族館の不思議なところでして…(^_^;;。

この水槽は「魚の背中と腹を観察しよう」という解説が掲げられた水槽。

手前の低い水槽で魚(と言いながら、カブトガニも入れられていましたが…笑)の背中を見てもらって…


奥側の高い水槽は底面がガラス(アクリル?)ばり。魚(やカブトガニ)のお腹が見られるという仕組みになっています。


お母さんたちも子供たちも、エイの腹とカブトガニのお腹を、メチャメチャ見上げてましたよ(笑)。

「魚のお腹を見る」というだけでは、一般的なトンネル水槽と変わりませんが、背中とお腹をそれぞれ見せるための水槽というのは、中々面白い展示だと思いました。

カブトガニのお腹を見た子供たちの感想は、「気持ち悪〜い!」でしたけど(^_^;;。


これはもう一つの“呼び物”の「生態ビデオ水槽」。生体の入った水槽の奥にビデオモニターが設置してあって、展示生体の生態の解説をしてくれます。

ただ、見学している子供達は面白がってスイッチを押しはするのですが、ビデオの解説を最後まで聞いている人は…。
誰もいませんな(^_^;;。

それに、ビデオが流れ始めるとモニターに意識が集中してしまって、水槽内の生体の観察が却っておろそかになってしまいます。ちょっと本末転倒(苦笑)。

生体解説を充実させたい気持ちは良く分かるのですが、結果、折角の飼育生体が“脇役”になってしまうのでは、わざわざ水族館に来る意味がなくなってしまうのではないでしょうか。


これは「毒トゲに守られたクマノミ」の解説パネルが掲げられた、クマノミの「生態ビデオ水槽」。

ゆる〜い感じの正体不明のアニメキャラが登場しているのはご愛嬌として(笑)、何が凄いって、イソギンチャクにデバズスメが捕まって食われるまでの一部始終を見せてくれたり、終いには、粘膜を拭き取ってしまうとクマノミもイソギンチャクの毒にやられてしまうということまでを、実験して見せてくれるんですよ(苦笑)。


で、これがその衝撃映像。
ハマクマがイソギンに食われてます(^_^;;。

事実としては認識していますが、実際にイソギンに魚を食われた経験のある海水魚飼育者にとっては、トラウマが甦る映像でしょうねぇ…(笑)。


写真が悪くて見難いですが(ご容赦(^_^;;)、ウミガメ水槽でちょうど、子供達がウミガメに餌をあげているところでした。
「魚の飼育係にチャレンジ」という企画で、エントランスロビーにある自動販売機でチケットを購入します。200円。大人でも参加可能(小学生以上)ですが(^_^;;、私は入館が遅かったので、既にチケットは定員(先着5名)に達して売り切れでした。


ウミガメ水槽の横には、「ウミガメ生き残りルーレット」なるものがあり、ウミガメが卵から孵化して大人になるまで成長することがいかに難しく、また有難いことか、解説されています。この水族館はこうした、教育&啓蒙活動に力が入れらている点が、際立った特徴だと思います。


「アマモ場」と「水田」の環境を対比して再現させた水槽がありました。いずれも最近のわが国において急速に失われつつある水辺の環境であり、自然の生物にとって大変貴重な環境でもあります。水族館の展示を通じて、環境保全の大切さを訴えようという、高い志を感じます。


メダカの放流に関する掲示もありました。貴重なメッセージだと思います。

ただし、その貴重なメッセージを来館者に読ませる工夫は十分なのかどうか?この説明シートを読む人は、私以外には見当たりませんでした。

私は、この水族館は教育&啓蒙活動に非常に力を入れており、自然環境保全のための活動の一環となる志も高い、意欲的な水族館だと感じましたが、その一方、来館者への“見せ方”(“魅せ方”?)には改善すべき点が多々あると感じます。

何となくですけれど、教育&研究機関としての水族館のあり方を追求するあまり、エンタテイメント性を軽視(あるいは蔑視?)している傾向があるのではないでしょうか。


通路の一角に、国内の動物園・水族館関連のニュースや、環境保全に関する新聞記事などが掲出されているスペースもあります。丁寧に見ていけば非常に貴重な情報が提供されているのだと思いますが、やはり注目する人はほとんどいません。

どんな貴重なメッセージであっても、それが受け手に伝わらない限りは、沈黙しているのと同じですよね?
私は「見世物小屋」のような水族館は嫌いですが、かと言って「勉強するぞ!」と肩に力を入れて水族館に行く気にもなりません。貴重な情報、大切なメッセージを伝えるための、この水族館ならではのエンタテイメント性が、もっともっと堂々と、そして熱心に、追求されなければならないのではないかと思いました。


こちらは「海のおもしろ科学室 マリンサイエンス・ラボ」。
この日のテーマは「貝たちのおいしいご飯の時間」で、様々な貝の摂餌の様子を、インストラクターのお姉さんたちが解説しながら、ビデオカメラで拡大して見せてくれました。
内容がマニアックな割には人気がありますな(笑)。

ただまあ、モニターで見て満足するよりも、解説そっちのけで実際の水槽を覗き込んでいる子供達の方が自然な態度と言うべきで…(笑)。

この水族館はAV機器を駆使した解説を積極的に取り入れていますが、普段気付きにくい細かな部分の詳しい解説が可能になる一方、目の前に実物がいて、生きて動いているという実感が失われがちです。検討を要するところでしょう。


「マリンサイエンス・ラボ」の一角に、ずっと以前から実物を見てみたいと思っていた水槽がありました。淡水魚と海水魚の混泳水槽。

水槽の左側のビデオモニターで、なぜ淡水魚と海水魚の同居が可能なのか、その理由を詳しく解説してくれています。

去年、「愛知万博」に「ナノバブルを使った淡水魚と海水魚の混泳水槽」が展示され、ずいぶん話題になりましたが(例えば→これ)、ここではもう何年も前からごくフツーに展示され、ろくに見る人もいません(苦笑)。


ほら、淡水魚の金魚やコイと海水魚のアジが、同じ水槽に泳いでいますよ。この状態で長いものは年単位で継続飼育しているとか。
怪我などの場合には、それぞれの環境の方が治りが早いので、淡水や海水の水槽に戻し、元気になるとまたこの水槽に収容するとのことでした。

仕組みは簡単で、比重を淡水と海水の中間程度(1.10程度の汽水)に維持しているだけのこと。淡水魚も海水魚も体内の塩分濃度は同じ(比重1.10程度)なので、この状態で長期飼育できるのです。「πウォーター」はもちろん、「ナノバブル」なんてハイテクも必要ありません(笑)。
愛知万博の水槽も原理は全く同じ、汽水を使用していただけのことですから、あの水槽で大騒ぎしていたというのは、まあ馬鹿げた話ですな。


「マリンサイエンス・ラボ」には、淡水魚と海水魚の同居水槽の他にも魚のエラの仕組みを説明した展示や、水産動物を原材料とした工業製品の紹介などがあります。この一角は「水族館」と言うよりは、博物館とか科学館の雰囲気ですね。


「マリンサイエンス・ラボ」の後、「ファンタジー・スロープ」と名づけられた、薄暗いスロープを降りると、「マリンワールド」最大の「パノラマ大水槽」が見えてきます。

日本で初飼育のシロワニをはじめ、20種類以上のサメ計約100匹を中心に、全部で80種、合計1万匹の魚が泳いでいるとか。

でも水槽に奥行きがないためか、そんなに大きな水槽に見えないんですよねぇ…(´・ω・`)。ちょっと不思議。

「スロープ」を降りた後、通路が左右に分かれて、「どっちへ行ったら良いのかな?」と迷わせる部分もあり、その辺も導線設計の下手なところです。
折角の大水槽なんですから、意識を水槽に集中させる設計が欲しかったですね。


ちょうど「アクアライブショー」の最中で、ダイバーが手にした水中カメラで撮影した映像が、水槽脇(写真の右手奥)の大型スクリーンに映し出されていました。
ただ、写真でも分かる通り、ここでもスクリーンの周囲が明るいので、観客はスクリーンに集中しません。
この水族館全体に言えるのですが、通路の照明が明るすぎて、水族館独特の、闇の中に水槽だけが浮かび上がって見える雰囲気が味わえないんですよね。ぜひ改善を望みたいところです。

と、言いつつ、そもそも生体をビデオで見せるという方法論自体、「どうなの?」と思うのも前述の通り(^_^;;。ダイバーの餌付けショーのある水族館の多くでは、生体を餌でおびき出して、お客さんの前に連れて来て見せてくれますが、そういうアナログ感覚の方が、個人的には好きです。

 
でも、実は私にとって面白かったのは、この「パノラマ大水槽」の裏側(^_^;;。

「洞窟の魚たち/深海の魚たち」のコーナーがあって、ドチザメなどの洞窟にすむサメたちが並んで寝て(?)いるのを見ることが出来ます。「パノラマ大水槽」の内部に洞窟が出来ていて、それを裏側から見られるようになっているんですね。

たいていの人は「パノラマ大水槽」の表側にばかり注目していて、裏側には人気がありませんが、表側よりもずっと面白いですよ。
だって、ダイバーで“サメ穴”にでも潜ったことがない限り、こんなに沢山のサメ、一度に見たことないでしょ?
必見です!(笑)


順路を辿って行くと3階の「サイエンスラボ」から1階の「パノラマ大水槽」に降りた後、再び2階に上がって、先ほどとは別の「ビデオ水槽」や「ジオラマ水槽」を見ることになっているのですが、この順路は複雑で、しかも途中で枝分かれしているので、私は何度か迷いました。お陰で見逃しそうになった水槽もあり、何度も前を通った水槽もあり(^_^;;、これも大いに改善の余地があります。


で、いよいよ展示コースも最後に近づいたあたりにあるのがこのタッチプールなのですが…。

水族館全体の大きさに比べて、あまりにも小さくはないですか?


しかもこれはないと思うなあ…。
タッチプールがあるのに、「手洗いは洗面所をご利用下さい。」って…(´・ω・`)。
しかもその洗面所まで、ずいぶん距離があるんですよ。

この辺もハードとソフトのバランスが狂っている部分だと思います。
(もちろん、パネル上部の「やさしくさわりましょう」には問題ないですけどね(^_^;;)

こういう部分、「誰が設計したんだ?」と、小一時間ほど、とっちめてやりたくなります(笑)。


展示コーナーの最後は外来生物のコーナーと「福岡の川」のコーナー。

外来生物のコーナーには、写真のミシシッピアカミミガメ(いわゆる“ミドリガメ”)の他、オオクチバス(ブラックバス)、アメリカザリガニ、ウシガエルなどの外来生物の実物が飼育&展示され、それらが日本で野生化したことによる影響が解説されています。


「みんなで考えよう!! … 飼えなくなった生きものをすてることは、『自然にかえす』ことではなく、多くの命をうばう結果につながります。」
というのは、来館者に対しての強烈なメッセージですね。

なんだかんだと文句をつけてはいますが(^_^;;、来館者に対して正しい環境保全のあり方を訴え続けるこの水族館の姿勢には、非常に共感を覚えましたし、民間企業の運営する水族館であるにも関わらず、このようなスタンスを貫いている姿勢には、素直に頭が下がります。
素晴らしい!!


ただ、だからこそ尚更、こういうコーナーはもっと充実させて欲しいんだよなあ…。「むかしなつかし福岡の川」のコーナー。

だって、例の「円柱水槽」の底部の周囲、半分のスペースしかないんですよ。で、上流/中流/下流のそれぞれの、小型の水槽が壁から突出して置かれているだけ。
そうじゃなくて、2階部分は全部、福岡の川から海へのジオラマの水槽で、その中に外来生物が紹介されているような構成でも良かったんじゃないでしょうか?そうすればこの水族館のメッセージがもっと強く、来館者に伝わると思うのですが…(´・ω・`)。

今のままでは「福岡の川」は、まるで“つけたし”のように見えて、なんとも残念に感じました。


で、ますます分からなくなるのが、例えばこの写真の左側の水槽。
イルカプールの水面下を眺められるレストランの入り口の脇に、何の解説も無く、何の脈絡もなく、ナンヨウハギばかりが入れられた水槽があります。この水槽がここに置いてある意味が分からん。
?????。


しかもそのレストランのテーブル席の横には、単純な観賞用として熱帯性の海水魚が入れられている円柱水槽が…(^_^;;。

これって完全に「水族館」の水槽(および生体)の扱いではなくて、純然たる商業水槽ですよね?

しかも客が少なくてヒマしているウェイター(アルバイトか?)が、水槽を叩いて魚を脅かしている姿まで見せられた日には、どう考えたら良いのか…(´・ω・`)


ちなみに、このレストランの外側は立派な「順路」に指定されていまして(^_^;;、例えば「名古屋港水族館」の、「アンダーウォータービュー」と同じように、水中を泳ぐイルカの姿が見られるようになっています。

が、何しろレストランの横ですので、周りが明るい(^_^;;。「アンダーウォータービュー」みたいな“海底の雰囲気”は全くなくて、何しろ後ろにはレストランで食事をしているお客さんもいるのですから、通路で立ち止まってイルカを見るのも憚られる感じです。

この辺も正直、どうかと思うところ。


ところがまた、そんな場所なのに面白い展示の工夫があるから困っちゃう(^_^;;。

これはイルカが一日に食べる餌と同じ重さのバケツ。実際にバケツを持って、イルカが食べる量を実感してみようという展示なのです。面白い。

来館者が自分の身体でイルカの餌の量を実感できるというのが「すごく良いなあ。」と思ったのですが、でも通路の真ん中なんですよね(^_^;;。レストランの脇で、ミュージアムショップの出口。
褒めて良いのか、貶して良いのか、私にはよく分かりません(苦笑)。


そしてこちらが上の写真の陸上。イルカのショープール。プールの向こうに博多湾が見えます。
お天気が良ければさぞ気持ちの良いプールなのでしょうが、この日はあいにくのお天気で、ちょっと残念でした(´・ω・`)。

この写真はショーの最中ではなく、トレーナーさんのリハーサル中。多分新人のトレーナーさんなのでしょう。先輩格らしいトレーナーさんから時々NGを出されながら、一生懸命練習されていました。
私はイルカのショーを見るよりも、ショーの練習をしているところを見るほうが好き(笑)。

新人さん、頑張って下さいね(笑)。


イルカのショー自体は、15分間と少し短めです。トリノオリンピックの開幕も近いということで、「マリンピック」と銘打たれてはいましたが、内容はわりに淡白。

「クジラのうがい」という芸があったのですが、観客に背中を向けているので、何だかよく分かりませんでした(^_^;;。


こちらはバイカルアザラシのプール。

水槽内にあるのと同じようなジャングルジム(?)がプールの外側にも置いてあって、子供達が遊んでいました。これもちょっと面白い展示。
ただ、子供達が遊ぶほどには、アザラシは遊んでいませんでしたけどね(^_^;;。


一方、こちらは「バクヤード・ツアー」です。
エントランスロビーの自動販売機でチケットを購入します。私が入館したのは午後1時30分頃でしたが、残り2枚でした。

でも仕方ないんですけど、集合場所で「お一人様ですか?」って聞かれるの、恥ずかしいんだよなあ…(^_^;;。

全国の水族館関係者の皆様!
一人で「バックヤードツアー」に参加する中年オヤジに愛の手を!!
是非よろしくお願いしますm(_*_)m。笑



バックヤードツアーは、例えば大阪の「海遊館」や沖縄の「美ら海水族館」のように、“バックヤードツアー用の見学者通路”みたいなものが特別に用意されている感じではなくて、本当にもろ“バックヤード”を見せてくれる感じです。

こういうの、楽しくて好き(笑)。

飼育員の方が魚やイルカの餌の準備をする部屋にも入れてもらいました。

壁に掛かっているのは水槽ごとの餌の内容。
全ての水槽に番号が振ってあって、どの水槽にどんな餌をいつ、どれだけ、という内容が、ホワイトボードに記入されているそうです。


で、こちらが実際のイルカのエサです。
バケツにイルカの個体の名前が書いてあって、それぞれの餌が入れられています。
こういうところまで、中々入れてもらえないんじゃないですかね?

この後、餌を貯蔵してある冷蔵庫や冷凍庫の中にも入らせてもらいました。冷蔵庫の中に、知る人は知っている「伊豆中央水産」さんの名入りカレンダーが貼ってあったのがご愛嬌(笑)。


バックヤードツアーの最後は「パノラマ大水槽」の上部の見学。

水槽の上から覗くだけかと思っていましたが…


階段を下りて水面ぎりぎりの場所まで下ろしてもらえます。
ちょっとドキドキ?(笑)。


この「パノラマ大水槽」には、「マリンワールドダイビング」という企画がありまして、一般の見学客でもパノラマ大水槽内をスクーバ・ダイビング出来ます。そこで使用する器材でしょうか?それとも「アクアライブショー」の器材?スクーバの器材も置いてありました。
ダイバーの方もここから水槽内にエントリーするんですね。

私も是非潜ってみたかったのですが、事前のスキルチェックなどの必要がありますので、体験することが出来ませんでした。


屋外のイルカプールに行く途中に「予備水槽室」があります。外部から魚を搬入してきて、最初に検疫&ストックしておく施設。2006年2月5日放送のNTV系列「鉄腕DASH!」というテレビ番組の「公共交通機関で活魚輸送車に勝てるか!?」という企画にも、この部屋が登場しましたね。(まあ、番組自体はひどい内容でしたが…。)

実は私にとって一番興味のある部屋なのですが、ここは「バックヤードツアー」でも案内してくれません。残念。
(でもまあ、こんなところを見たいと言うのは、かなり変わった見学者だけだとは思いますが…苦笑)


「予備水槽室」の“のぞき窓”の横には、きちんと「予備水槽室」の機能・役割が掲示してあります。こういうところは、この水族館に好感が持てるところ。

なんだかんだと文句をつけてはいますが、私はこの水族館が単なる「見世物小屋」としての水族館に満足せず、「水族館として本来取り組むべき仕事」に真面目に取り組もうとしていることは、十分に感じました。

ですから個人的には「頑張って欲しいなあ。」と思うところ。厳しい言葉も“愛のムチ”で、くれぐれもただの“クレーマー”じゃありませんから、そこんとこ、夜露死苦!(*^ー゚)b(笑)。

   

〜 ちょっと番外編 〜


せっかく福岡に行きましたので(と言っても本当の用事は仕事の出張だったのですが(^_^;;)、水族館に行く朝、早起きをして大宰府の天満宮にお参りをして来ました。ちょうど姪が二人、中学と大学の受験でしたので、その合格祈願と、息子の学業増進(笑)をお願いして来たのです。

お陰様で姪の二人はなんとか落ち着き先が決まったのですが…。
息子の方のご利益は…(^_^;;。

まあ、気長に待ちますか(苦笑)。


しかし大宰府天満宮は中々良い雰囲気のお宮さんですね。私の好みです。土産物屋さんの並んだ参道を歩きながら、長野の善光寺にお参りした時のことを思い出しました。(そういえば、善光寺に行った日も雨だったなあ…。)
実はこの日は帰路に道に迷い、雨の中を1時間も歩く羽目になったのですが(^_^;;、お天気の良い日にでもまた、お礼参りに伺いたいものです。

ちなみに、天気が良くて道に迷わなくても、大宰府天満宮から「マリンワールド 海の中道」までは1時間以上、かかります。遠いですよ(笑)。

でもまた是非、天満宮も「マリンワールド」も、今度はもっとゆっくり時間を掛けて、訪問したいものだと思いました。

   
まとめてひとこと
 
  • いいところも沢山、ダメなところも沢山ある水族館。
  • 環境保全の大切さを来館者に訴えようとする心意気やよし。
  • 娯楽のためだけの水族館ではなくて、教育&研究のためのプログラムも充実しています。
  • だけど一般観覧者のための水族館エンタテイメントのあり方も、もうすこし真剣に考えたほうが良いと思うぞ。
  • 今のままじゃ「見る(眺める)水族館」でもなく、「する水族館」でもなく、「読む水族館」か「聞く水族館」。
    お客を楽しませながらメッセージを伝える、ハイレベルなエデュテイメントへのチャレンジを期待します。

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