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放蕩見聞録・水族館篇 [12]
サンピアザ水族館

 

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基本情報 (2006.05記入)
 
  所在地 〒004-0052 札幌市厚別区厚別中央2条5丁目7番5号
  アクセス
  • JR「札幌駅」から千歳線「快速エアポート」で約8分、「新札幌駅」下車 徒歩約3分
  • 札幌市営地下鉄「大通駅」から地下鉄東西線で約18分、「新さっぽろ駅」下車 徒歩約5分
  電話番号 011-890-2455
  営業時間 10:00〜18:30 (4月〜9月)
10:00〜18:00 (10月〜3月)
※最終入館は閉園の30分前で終了
  定休日 年中無休
  入場料金 900円(高校生以上)/400円(3歳〜中学生)/720円(65歳以上)
※札幌市青少年科学館(プラネタリウムなどがある)との共通利用券あり。
※インターネット割引券もあり
  公式サイト http://www3.ocn.ne.jp/~sunpi-aq/
   
独断と偏見による概要
 
  • 札幌の副都心、厚別区の新札幌駅に隣接した複合商業施設「新さっぽろアークシティ」内のショッピングモール「サンピアザ」の一角にある水族館です。札幌市の中心地からは地下鉄で20分弱の距離がありますが、地下鉄の駅からもJRの駅からも、傘を差さずに入館することが出来、典型的な「都心型水族館」のひとつと言えます。すぐ隣には札幌市の「青少年科学館」もあり、プラネタリウムなども楽しめるそうです。(「サンピアザ」の中には「サンピアザ劇場」もあります。)
  • オープンが1982年ですから、施設そのものは決して新しいものではありません。また、規模も決して大きなものではなく、「買い物ついでにふらりと立ち寄るのにちょうど良い、お気軽水族館」という感じではありますが、小さなスペースの中に南の海から北の海まで、人気のある魚や動物をギュッと詰め込んでコンパクトにまとめた、いわば松花堂弁当のような水族館ですね(笑)。
  • 館内の展示やイベントには、「デンキウナギの発光実験」や「魚のサーカス(イシダイの輪くぐり、等)」、「マリンガールの餌付けショー」などの他、「雷鳴やスコールを再現したアマゾン水槽」などがあり、立地条件と言い、展示内容と言い(ついでにネーミングも?)、東京・池袋の「サンシャイン水族館」を思い出させます(^_^;;。「サンシャイン水族館」に行ったことのある人は、あの水族館をもう少し小ぶりにした感じ。と思えば、だいたいの雰囲気は分かるでしょう。
    (と言っても私はもう10年以上、その「サンシャイン水族館」に行っていませんので、最近の東京・池袋「サンシャイン水族館」が現在、どんな水族館になっているのか、全く分からないのですが…(^_^;;)
  • アクセスが抜群で、料金も決して高いものではなく、狭い割にはラッコやアザラシ、ペンギンなどの大型動物までいて、「都心型水族館」としては質、量ともに十分な水族館ではあるのですが、その一方、この水族館ならではの“売り”は何?と聞かれると、ちょっと答えに詰まる部分もあります。
    「幻の魚」といわれるイトウに餌を与えることが出来るなど、地域の特色を生かした展示もあるのですから、「札幌市唯一の水族館」としてはもうひとつ、遠い地方の人間までも引き付けることが出来るような、新たな特色を作って欲しいところですね。

    なお、私がこの水族館を訪問したのは2006年3月の初旬の事でしたが、その後内部が改装され、2006年のゴールデンウィーク前にリニューアルオープンされたのだそうです。
    そのため、現在の展示内容などは、このページでご紹介するものとは大きく異なっている可能性があると思われますが、その旨、ご承知おき下さい。
             
   
写真で紹介(2006.03訪問)
 
サンピアザ水族館の外観です。JRおよび地下鉄の「新札幌駅」に隣接する商業ビルの一角を占めています。

このビルの向かい側には、札幌市の青少年科学館があり、札幌出身の知人(20代)に聞いたところ、「子供の頃、学校行事でプラネタリウムと水族館を見に行きました。」との事でした(笑)。
入り口でチケットを買って館内に入ると最初は「暖かい海の魚たち」のコーナーで、横幅1〜1.5mくらいの小ぶりの水槽が5つばかり並んでいるのですが、一番手前の水槽だけはやや大型で、「テーマ水槽」と名付けられています。(写真の一番左。水槽内のエアレーションでエア・カーテンが出来ている水槽)。

何が飼育されているのか、パッと見ただけではわかりませんでしたので、「どんなテーマなのかなあ…。」と思って近づいて良く見ると…。
水槽内を埋め尽くしていたのはこれ。スジエビ(^_^;;。

上の写真では分かりにくいですが、アップで見るとすごいでしょ?この「テーマ水槽」に、スジエビしかいないんですよ。こんなに沢山のスジエビ、どうするつもりなんでしょうか。釣りの餌にしても数が多いですよねぇ…。
正直、不気味です(^_^;;。

「テーマ水槽」がいきなりのこのスジエビで、さすがの(?)私も、少々度肝を抜かれました(苦笑)。
で、スジエビでいきなり驚かされた後、いよいよ「暖かい海の魚たち」の水槽群。
大きなセンネンダイなどが目を引いていましたが、ここにもちょっとした驚きが…。
ヨスジフエダイやメジナの入った水槽の中に、アカウミガメの子供。

ちょとさみし気な風情が…(´・ω・`)。
「暖かい海の魚たち」の次には「寒い海の魚たち」のコーナーがあり、その次には、タッチングプール。他の水族館だと、順路の最後の方にあることが多いんですけどね。

ただ、1982年オープンの水族館で、これだけきちんとしたタッチングプールが用意されているのは珍しいんじゃないでしょうか。プールの中には定番のヒトデなどの他に、バイガイ(かな?)なども入れられていました。

タッチングプールに入れる生き物の種類も水族館ごとに違っていて、中々面白いですね。
手書きの注意プレート。可愛いです(^_^)。

タッチングプールの向かいにはクリオネの水槽も置いてありましたが、クリオネ自体、最近ではさほど珍しいものでもなくなりましたね(´・ω・`)。

こちらはこの水族館内最大の「回遊水槽」。
写真の大型エイのほか、ギンガメアジ(写真の右側)などの大型回遊魚が飼育されています。

水槽の横幅は大きいのですが、高さ(深さ)がないためか、パッと見た時にあまり大きな水槽に感じないのが勿体ない感じ。

水槽の中央に太い柱が立っているので、まるで大きな2つの水槽が並んでいるようにも見えますが、ガラス面が2面に分かれているだけで、水槽自体は一つの大型水槽です。今の技術であれば中央の柱は立てないのでしょうけれども、1982年当時としては仕方の無い設計だったのでしょうね。
日曜・祝日には1日に6回、「マリンガールの餌付けショー」も行われるそうですが、私が見学したのは平日でしたので、ショーはありませんでした。

ご覧の通り、水槽内にはジャングルジムのような構造物が置かれているだけで、殺風景なこととも関係するのでしょうか、大きさの割には地味な水槽に見えます。
こちらは「回遊水槽」に向かい合って配置されている円筒水槽群。
後ろ側の壁面に埋め込まれた水槽群もあわせて、「サンゴ礁の魚たち」のコーナーです。

水槽の中を見ると、擬岩(飾りサンゴ)の作りがいかにも“偽もの”で、ちょっとレトロな雰囲気でした(^_^;;。
さて、「サンゴ礁の魚たち」のコーナーのあと、2Fへの階段を上がると、そこは「川と湖の魚」のコーナー。

やはり北海道だけに(?)、「カムバックサーモン」のプレートが掲げられ、この水族館で生まれたサケの稚魚のほか、ニジマス、ヤマメなど、比較的冷たい水の川や湖に住む魚が紹介されています。

そして、こちらがある意味“お約束?”(笑)。サケの稚魚。

しかし、養殖がひとつの事業として確立しているからとはいえ、これだけの数の稚魚を水族館で殖やし、展示しているというのは、すごいことですよねぇ…。
その「川と湖の魚」の水槽の向かいに、こんな古い“ガチャガチャ”がひとつだけ、設置してありました。20円とは珍しい。

さて、これは何でしょう?と思うと…。

これでした(^_^;;。

“ガチャガチャ”のカプセルの中から出てきたのは、クリル(乾燥オキアミ)。
魚の餌の販売機だったんですね。
で、そのクリルを食べるのがこの皆さんです。1mほどもあるようなイトウさん(^_^;;。

イトウって、“日本最大の淡水魚”とも言われ、北海道にしか住んでいない魚で、しかもその数が減少して絶滅も危惧されていることから“幻の魚”と呼ばれているはずなんですが、この水族館ではそのイトウに餌を与えることが出来ます。しかも20円(^_^;;。

何しろ大きな身体ですから餌を食べるのもゆっくりかと思いきや、餌を採る時の動きは非常に俊敏で、大変な迫力があります。怖いくらい。
是非、餌やりしてみることをお勧めしますね。
さて、「川と湖の魚」の水槽群の最後はオショロコマ。
やはり北海道にしか住んでいない魚ですが、非常に美しい魚ですね。“川の宝石”と呼ぶ人もいるようです。オショロコマという名前は、アイヌ語の「オソル・コ・オマ(特殊な岩魚)」というところから来ているとか。

イトウであったりオショロコマであったり、こうした地域に密着した魅力的な魚もいるのですから、そうした生物の紹介に、もっと力を入れて欲しいと思うのは、旅行者である私のわがままなのでしょうか。
北海道の川と湖の次にペンギンが来るのは、まあ若干唐突な感じがしないではないですが、「許容範囲かなあ。」とは思うのですが…

「ペンギンランド」の隣は「アマゾン水槽」。

んっ?「ペンギンランド」の隣に「アマゾン水槽」?(^_^;;。
ま、その辺は不問の方向で…(苦笑)。

この「アマゾン水槽」内には一定時間ごとに「稲妻が光ると共に雷鳴が轟き、水槽内にスコールが降る。」という趣向になっています。他所の水族館でもしばしば見掛ける仕掛けではありますな(^_^;;。

「アマゾン水槽」の隣には「デンキナウナギの発光実験」の水槽。
これもしばしば見かけるような…。
ただ、水槽の中に大きな電球が入れてあるディスプレイは、可愛いですけどね(^_^;;。
デンキウナギの次には「珍しい魚たち」と「魚のサーカス」のコーナー。

「珍しい魚たち」って、どんな魚かな…。と思ってみると…

こんな魚たちでした。アジアロワナ(^_^;;。

確かに、「アジアアロワナ」が希少なことは間違いないですが…。

その他にはメキシコメナシウオ(洞窟の中に住む目のない魚)や、イエローストライプドシクリッド(口内保育するらしい)、などがいました。

だけど、私は淡水魚には詳しくないので、イマイチどの程度「珍しい」のか、分からなかったんですよねぇ…(^_^;;。
「珍しい魚」の水槽の上の段は「魚のサーカス」の水槽。
イシダイが輪くぐりをしたり、ゴルフをしたり、旗を引っ張ったり、と、水族館での“魚の芸”としてはおなじみの内容です。
で、その「珍しい魚」「お魚サーカス」の向かいには、ラッコまでがスタンバイしています。
このスペースの中でラッコまで飼育するとは…。
サンピアザ水族館、恐るべし(笑)。
この水族館には、一般に市販されている鑑賞魚用水槽を使用した展示も沢山ありました。中でも沢山置かれていたのがこの、ニッソーの「ルームメイト」。熱帯魚飼育者にはお馴染みのオールインワン水槽ですね。「めずらしい魚たち」の向かい側、ラッコ水槽の隣に置いてありました。

同様の水槽は1Fの回遊水槽の横にも置いてありましたが、壁面埋め込みの大型水槽の数が限られている中で、展示生体の種類を増やすための工夫なのでしょう。

その水槽の中で何を飼育しているかというと…。
たとえばこれ。オニヒトデ(^_^;;。本物です。

上の写真の一番左側の水槽の水面に張り付いているのがコレですね。
図鑑や模型などではお馴染みの生き物ですが、本物を見るのは私も初めてです。
(ま、一般の見学者の方に面白いかどうかは分かりませんが(^_^;;)
ただ、ちょっとかわいそうな生体もいました。こちらはオニカマスの幼魚。

本来は外洋を回遊するタイプの生体ですから、このような狭い水槽の中で飼育することは出来ません。
おそらく何回もガラス面に激突した結果と思われますが、口先の部分を怪我して白くただれています。呼吸も異常に速く、各ヒレの動きも細かく震えるような感じ。
典型的なストレス状態にありました。

このような状態は魚の飼育の“悪い見本”みたいなものですから、そうした水槽が水族館に堂々と展示されているというのは、ホビーアクアリストとしては「どうなのかな?」という気がします。
「めずらしい魚」「魚のサーカス」の次には「ピラルクー水槽」。そしてその後がこの「ゴマフアザラシ水槽」です。
とにかく、これだけ狭いスペースの中に、魚だけではなく、ペンギン、ラッコ、アザラシと、大型の海棲哺乳類や鳥類まで飼育・展示しているというのは、(いかに見学者のニーズがあってのこととは言え、)色々な意味で“驚き”ではあります。
展示コーナーを出て、ミュージアムショップ(と言うよりはお土産売り場?(^_^;;)の中にも、やはり懐かしいものがありました。「撮影水槽」。
綺麗な熱帯魚の入った水槽越しに写真を撮ると、まるで水の中にいるように見えるという仕掛け。以前はあちこちの水族館に同様の趣向の水槽が置いてあったと思いますが、最近はあまり見かけなくなりましたね。
ミュージアムショップの横の出口を出ると、最後にあるのが「魚偏の漢字」。
鮨屋かい!(笑)

しかし(一見どうでも良い展示のようにも思われますが(^_^;;)実は良い展示なんじゃないかと私は思いますよ。これだけ沢山の“魚偏の漢字”を見ると、日本の文化と魚との“つながり”が、それだけ深いものだったんだな。と感じるじゃありませんか。惜しむらくはそういう視点で、一つ一つの漢字の解説を、もっと充実させて欲しかったな。とは思います。

〜 ちょっと番外編 〜

何しろ初めての北海道なので、とりあえず立ち寄ってみました、時計台。
今ではビルの谷間みたいなところにあるんですね。

機会があればまた、もっとゆっくり訪れてみたいものです。
   
まとめてひとこと
 
  • 180万人都市・札幌の唯一の水族館としては、ちょっと寂しい“松花堂弁当”。
  • 施設の古さは致し方ないものの、Menagerie 的な展示コンセプトの古さが気になるところ。
  • とはいえ、都会の真ん中にあるアクセスの良さは抜群。
    サケの稚魚や“幻の魚・イトウ”など、他の地域の水族館では中々見ることが出来ない、北海道ならではの生体の展示も魅力的。
  • 是非リニューアルして、さらに魅力的な水族館になって欲しいですね。

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