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放蕩見聞録・水族館篇 [6]
名古屋港水族館

 

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基本情報 (2005.03記入)
 
  所在地 〒455-0033 名古屋市港区港町1番3号
  アクセス
  • 名古屋駅から地下鉄東山線「栄」駅乗りかえ名城線「名古屋港」行き、終点下車。徒歩5分
  • 名鉄・JR「金山」駅下車、地下鉄乗りかえ名城線「名古屋港」行き、終点下車。徒歩5分
  電話番号 052-654-7080(代)
  営業時間
  • 9:30〜17:30(通常期)
  • 9:30〜20:00(7/21〜8/31)
  • 9:30〜17:00(12/1〜3/31)

※入館は、閉館時間の1時間前まで
※9月の土・日は、20時までナイトアクアリウム実施

  定休日 毎週月曜日(休日の場合は翌日)及び12月29日〜1月1日
  入場料金 2,000円(高校生以上)/1,000円(小中学生)/500円(4才以上)

※南極観測船「ふじ」などとの共通鑑賞券あり

  公式サイト http://www.nagoyaaqua.jp/index.html
   
独断と偏見による概要
 
  • 1992年10月に魚類展示が中心の「南館」がオープン、2001年に海棲哺乳動物展示が中心の「北館」がオープンした水族館です。「名古屋みなと振興財団」が運営しています(所管庁:愛知県知事)。
    2003年秋に和歌山県太地町の「くじらの博物館」からメスのシャチ(名前は「クー」ちゃん)を移送し、人工受精による繁殖を目指して飼育しています。
  • 半公営(?)の水族館でもありますし、例えば「ジンベイザメ」とか、「他の水族館では見られない」ような生体はいないので、訪問するまでは何が“呼び物”か分からなくて、私は「地味な水族館なのかな?」などと考えていたのですが、いざ見て見たらとんでもない!どの水槽も展示方法に非常な工夫がしてあって、実に面白い水族館でした。「何が“呼び物”なのかな?」などと考えていた自分を恥ずかしく思うくらい(^_^;;。
    ここ最近で行った水族館の中では、私にとっては間違いなく「イチオシ」の水族館です。
  • とにかくまず、エントランスの空間が気持ちよい。イルカプールの大きなガラス越しに差し込む青い光で、一瞬水底にいるような気持ちにさせてくれます。
  • そして圧巻は南館(魚類展示館)の小型実験水槽。ひとつひとつの水槽のテーマが明確に絞り込まれていて、説明パネルも充実。見学者もただ水槽を眺めるだけではなくて、時には自分の手を動かしたり、ボタン操作したりしながら、海の生き物の生態を学ぶことが出来るようになっています。
  • また、単に水槽の展示方法が素晴らしいだけではなくて、17〜18世紀の潜水服の展示があるなど、海と人間とのかかわり方にまで目を向けた展示となっているのも特筆すべき特徴です。北館(海棲哺乳類館)においても、単にシャチやイルカのショーが行われるだけではなくて、その中で海棲哺乳類の進化の説明がなされ、骨格標本の展示も充実しているなど、単なる「水族館」としての機能を超えた、まさに「水族博物館」と言えるでしょう。
  • マリンタンクキーパーは是非、デジカメとメモを持って訪問して下さい。全ての水槽の前で思わず、「うーん」と唸ってしまうのは間違いありません。
  • なお、老婆心ながら付け加えておきますと、「海の生き物の生態になんか興味ないよ〜ん(^_^;;」という方にも、十分に楽しめる水族館ともなっています。シャチはでっかいし、ベルーガの赤ちゃんは可愛いし(日本で初めて繁殖に成功)、かっこいいマグロも泳いでいます。ウミガメの赤ちゃんも沢山います。
    そういう、誰にでも楽しめる水族館としての要素を十分に高いレベルで保ちながら、“水族館マニア”も唸らせる展示の工夫。「名古屋港水族館、侮りがたし!」です(笑)。
   
写真で紹介
 
水族館のエントランスに向かう階段です。市営地下鉄の「名古屋港」の駅から歩いてすぐです。

この階段に向かって左手がすぐに名古屋港の岸壁になっていて、我々の世代(1960年代生まれ)には懐かしい南極観測船「富士」が停泊、展示されています。

このあたりは小奇麗で、現代的で、「なんかまた、ミーハーな水族館かあ?」などと、我々を油断させる仕掛け(?)になっています(笑)。
北館のエントランスホール。
北館の入り口で入場券を渡すとすぐに、このエントランスホールに入ります。目の前がシャチ・イルカプールの水中観察窓になっており、お天気の良い日には屋外の明るい光の中でイルカやシャチがゆったりと、あるいは素早く、泳ぐ姿が目に飛び込んできます。
館内に入った人の口から自然に「おーっ!」という喚声が上がります。

中々気持ちの良いエントランスホールで、ここだけでもちょっと良い気分になりますね。

この水槽の反対側、入り口から入って左手がベルーガのプールで、昨年生まれたベルーガの赤ちゃんを見ることが出来ますが、私が訪問した時には、刺激を避けるためでしょうか、ベルーガのプールは囲いで覆われていました。(囲いの中に入って、ベルーガの赤ちゃんを見ることは出来ます。)
こちらは南館(魚類中心の展示です。)のエントランスホール。北館からは渡り廊下を伝って移動します。
なぜか沖縄・ケラマ諸島から運んできた流木が展示してあり(^_^;;、「なぜ流木?」と思ったのですが、展示を見ていくうちに「いかにも名古屋港水族館らしい展示だなあ。」と感じるようになりました(笑)。

まあでも、普通の人は「なんじゃこれ?」とも思わずに、皆、無視してどんどん中に入っていってしまいます(苦笑)。
ベンチが置いてありますので、単なる休憩スペースとしか理解されていないようです(^_^;;。
南館エントランスホールに展示してある「繁殖賞」のメダルです。
(ベルーガの繁殖賞は現在申請中で、まだ展示されていません。)

「全部で12種かあ…。」などと思って、ぼんやりと眺めていたのですが、近づいて良く見てみてびっくり!それは…
(下の写真につづく)
左からなんと!ナンキョクオキアミ(2000年)、ホンヤドカリ(1998年)、スジエビモドキ(1998年)、ナンキョクイボナシギンチャク(2000年)と、海産無脊椎動物の繁殖賞がずらり。この写真には写っていませんが、向かって右側のケースの中には、イトマキヒトデ(1997年)のメダルもあります。

で、まあ、正直、「それがどうしたの?」と思う方が大半だとは思いますが(^_^;;、こうした海産無脊椎動物の繁殖って、実は取り組みの事例が少ないんですよ。
しかもホンヤドカリやスジエビモドキなんて、その辺の磯にゴロゴロいる生物ですから、マトモに研究対象にされることが却って少ないのです。それをきちんと繁殖させて、賞を取っているところが、「只者ではないな!」と感じさせます(なんてのは、私だけかもしれませんが…苦笑)
んで(^_^;;、ごく一部のマニアな人々を除くと(^_^;;、一般の見学者が南館で最初に目にする水槽がこれです。
クロマグロがどーん!!

葛西の臨海水族園がクロマグロの飼育を始めた時にはずいぶん話題になったと言う記憶がありますが、やはり飼育技術も進歩しているんですね。体長1m以上もある大型のクロマグロが、見学者のすぐ目の前をスーッと泳いで行きます。迫力満点!

写真では見学者のいるホールも明るく写っていますが、実際には手前のホールは暗く、魚の泳ぐ水槽だけがスポットライトで照らされていますので、中々に幻想的な、雰囲気のある水槽です。
(ただし、魚は早いし、ストロボも使用禁止なので、写真はブレちゃうんですけど…(^_^;;)
クロマグロの回遊水槽の後には、個別のテーマを持った小型の額縁水槽の展示が続きますが、名古屋港水族館の本当の実力は、この小型のテーマ水槽(実験水槽)の展示にありました。

で、まず最初に私の目に付いたのがこの水槽です。
向かって右側が「アマモ場」の水槽。それに対して左側が「ガラモ場」の水槽。我々にとって本来身近な、しかし最近では中々見られなくなった岸辺近くの海中の環境を、左右に対照して比較展示してあるのです。(マニア大喜び…爆)
その「アマモ場」水槽。
パウダーサンドの水底から、アマモが生え、アミメハギやクサフグ、クロナマコなどが入れられています。
左側の「ガラモ場」水槽。
水底には大きめの礫が転がり、カジメなどの藻類が生え、キヌバリ、チャガラなどが泳いでいます。
で、私が一番「面白ーい!」と思ったのが、実はこの水槽。テーマは「水流と魚」。

暗くて写真に撮れなかったのですが、水槽の下側にハンドルがついていて、そのハンドルを回すと、水槽の中に水流が発生する仕組みになっています。
で、ハンドルを回す方向によって水槽の中の水が右から左へ、左から右へと流れを変え、それに伴って水槽の中のクロホシイシモチの群れが右を向いたり左を見たり…(^_^)。
中央に植えられた海藻の動きで水流の向きが変わるのも分かりやすく、目と手を使って魚の生態が理解できる、優れた展示だと思いました。

でも水槽が暗くて写真が上手に取れなかったのが残念…(^_^;;。
(この写真は水流がない状態です。)
こちらの水槽のテーマは「潮間帯の生物」。ただのタッチプールじゃありません。

水面に浮いている円形の透明プラスチックのお皿みたいなものは、いわゆる“タコメガネ”と同じ役割。底面が凸レンズになっていて、水底の生物を観察しやすいようになっています。見学者は自由に水中に手を入れて、また「タコメガネ」で拡大して、磯の生き物を観察することが出来ます。ちょっとした磯採集気分?

この展示もよく考えられていると思いました。
こちらは「砂浜の魚たち」。細かなパウダーサンドの水槽にカレイなどが隠れています。
この水槽は通常の水槽のように壁に埋め込まれているのではなくて、通路に大きく張り出したテーブル状の大の上に置かれて、観覧者は水槽の上部から、砂の上を覗き込んで、観察するようになっています。(水槽の天面は頑丈なアクリルガラスで覆われています。)

考えてみれば、カレイなどの観察をするにはこうした構造の水槽が最適なんですが、他の水族館ではあまり見られませんよね?
幼稚園児くらいの小さな女の子が、お父さんと一緒にカレイの目玉を見つけて、「かくれんぼしてるんだね。」と言って楽しそうに笑っていました。良い教育になる水族館だなあ…。
びっくりしたのはこんな、“普通の人”から見たら、ただの石ころにしか見えないライブロックなんかを、しゃあしゃあと、ひとつの水槽を丸ごと使って展示しているところ(笑)。これ、別にストック水槽などではなく、これで立派な展示水槽の一つです。

ある意味、すごい勇気ですよ。見学者に媚びていない(笑)。
「見たくなければ見なくて良い!分かるヤツだけ、ついて来い!!」って感じ(^_^;;。
この“ライブロック水槽”、一応、「石の中に住む動物」というテーマを持っているわけでして、水槽の上にはこんな丁寧な説明パネルも展示されています。しかし、海水魚飼育をしているわけでもない“普通の人”が、そんなモン、見るわきゃない(爆)。
従ってこの水槽の何が面白いのか分かるはずもなく、案の定、周りの人々は皆、「何これ?準備中?」とか何とか言いながら、通り過ぎていきました(^_^;;。驚いて見ているのは私だけ(苦笑)。

(で、またその水槽を写真に撮ったりしているもんだから、私に対する「何コイツ?」という、“世間様”の眼が痛く…(^_^;;)
このように、よく見るとカモメガイ(?)の入出管が見えたりしているわけですが、そんなところまで見てるヤツは私以外にいない!(と、断言。笑)
こちらはタコの飼育水槽。
左手手前にタコがいます。

後ろのアクリルの箱の中に餌を入れると、アクリルの箱に開けられた小さな穴から出入りして、餌を食べるという実験が見られる仕組みになっています。
磯採集をする人間にはお馴染み、モクズショイもいました。
赤い毛糸や緑のスポンジを千切って、甲羅に貼り付ける様子を観察できる水槽です。

大学生くらいのカップルが
「モズクショイってな〜に?」
「さあ〜?モズクを食うんじゃないか?」
と、言いながら通り過ぎていきました(^_^;;。
「モズク」じゃなくて、「モクズ」ね。パネルを良く見ろよ!(ま、キミらには興味が無いんだろうけど…苦笑)。
こちらのテーマは「マイクロアクアリウム」。

一瞬、「超小型水槽のこと?」と思いますが、そうではなくて(^_^;;、水槽の中にいる微細な生物をビデオカメラで拡大して見せてくれます。カメラの位置は手元のボタンで操作して、水槽内の好きな場所、好きな生物を自由に拡大して見られる仕組み。
水槽の中にいて拡大して見ることが出来るのは、ワレカラやフジツボ(その蔓脚)、イソギンチャクの触手など。私は大喜びで見て来ましたが、しかし、こんなもの見て喜ぶヤツが他にいるのか?(爆)
これは水中観察ドームのある水槽。水槽の底面に小さなアクリルのドームが突き出しており、見学者は底から顔を出して、水槽の中をのぞくことが出来ます。
手前右側を上に向かって泳いでいるのはミノカサゴなんですが、ストロボが焚けないのでブレてしまっています(^_^;;。
2つあるドームの片方は、半円形(1/4円?)で、通路側に開口。子供たちは大喜びです(もちろん、私もね…爆)
こちらは「サンゴ礁大水槽(ラグーン)」の入り口付近。
半ドーム型(というか、片面トンネル型?)になっていて、そのトンネルの中を、見学者は通り抜けて行きます。トンネル水槽自体は今や珍しいものではなくなってしまいましたので、この時には特に何の感想もなく、「ふーん。」と思って通り過ぎてしまいました。
「トンネル」の半分が階段状になっていて、疲れたおとーさん方が休憩できるようになっているところが、ポイントと言えばポイントかな?(苦笑)

「サンゴ礁大水槽」の“トンネル”の上を泳ぐナポレオン。
水槽の上には大きなメタハラがいくつもセットされていますが、水槽の上部も開放されていて、ガラス屋根越しに青い空も見えます。

このナポレオンは老成魚ですので、頭上のコブ(このコブが“ナポレオン”の名前の由来)が出来ています。オスです。
で、その「サンゴ礁大水槽(ラグーン)」のトンネル部分を抜けると、このホールに出ます。画面中央の四角いガラス面が「サンゴ礁大水槽」の側面。その左手の手前から奥に向けて、上の写真の“トンネル”が設置されています。

さりげなく、ツバメウオの群れなんが泳いでいて、これはこれで好感度高いですが、この時にはまだ、この水槽の本当の“面白さ”には気付きませんでした…。

んで(^_^;;、こちらが「サンゴ礁大水槽(ラグーン)」の上部。エスカレータで3階まで上がると、この水槽の水面を見下ろすことが出来ます。画面の左手下側が今まで見てきた「サンゴ礁大水槽(ラグーン)」で、「トンネル」は左手下側、水槽側面を見ることが出来る「ホール」(すぐ上の写真)は、右手下側に位置します。

写真を見ていただくと分かるのですが、この水槽、今まで見てきた部分だけではなくて、その奧側(写真の右手上の方)に、ちゃ〜んと、浅瀬が出来ているんですね。だからわざわざ、「ラグーン」という名前の水槽だったわけです。
画面の中央を左上から右下に斜めに横切る“リーフエッジ”を挟んで、手前側(トンネル側)が水深の深い“アウターリーフ”、奥側が浅瀬の“インリーフ”になります。
ちなみに、この水槽の“サンゴ”は全て作り物ですので、念のため(笑)。
そしてこちらが、その「サンゴ礁大水槽(ラグーン)」の“浅瀬(インリーフ)”部分。この水槽の奥側、サンゴが重なっている部分の向こう側がそのままドロップオフになって、“トンネル”の正面になります。見学者は同じ水槽を、前と後ろから見ている訳ですが、“トンネル”は1階、こちらの水槽は2階の高さになっています。

同じ大きな水槽の中に、浅瀬と深場の両方の地形を作って、別々の水槽のように見せる展示自体は、最近ではもう珍しくないのですが(新江ノ島箱根園でも採用)、南の海のリーフエッジのドロップオフ地形がそのまま再現されているのは珍しいと思います。しかも地上の岸辺部分まで再現されているわけですから(上の写真参照)、もう、マニア魂をバリバリに刺激(笑)。
おー、奥側の“アウターリーフ”から、ナポレオン(メガメモチノウオ)の若魚が、浅瀬の“インリーフ”に入ってきましたよ。沖縄のイノー(礁湖)をスノーケリングしていると、本当にこんな光景に出会って、ドキドキすることがあります。

このナポレオンはまだ若くて、メスですね(ナポレオンはメス→オスへと性転換します)。しばらく浅瀬を泳ぎ回った後、また、リーフの切れ目からドロップオフの向こう側、“トンネル”部分の方へ泳いで戻って行きました。
こちらはうって変わって、4枚上の写真の“ホール”の一角に展示してある円形水槽です。本物の生きたサンゴが展示されています。
ハタタテハゼとクマノミ(並クマ)、奥側にヒレナガハギ(かな?)の姿が見えますね。同じ水槽の中にイースタン・クラウン・アネモネフィッシュ(“例の映画”の“ニモ”のモデル)もいました。

ただ、残念だったのは、この水槽に「クマノミとイソギンチャク」というタイトルがついていたことです。他の魚やサンゴも沢山いるのに…。
写真の右側のイソギンチャクに住み着いているクマノミ(並クマ)のペアが産卵を繰り返しているとのことでしたが、私が行った日は既に孵化の後らしく、卵塊は確認出来ませんでした。
サンゴ水槽の前に、クマノミ(並クマ)の稚魚水槽があります。あっ、ルームメイトだ(笑)。
後ろのサンゴ水槽の中の並クマペアが、水槽内に生みつけた卵から孵化したものを育てているそうです。50匹位いるのかな?
水槽の上の説明ボードには、孵化後1ヶ月の稚魚、というようなことだけが書かれていましたが、稚魚水槽の内部にもうひとつ、小さなプラケースが浮かべられ、その中の稚魚は孵化後10日前後のものと思われました。2回分の稚魚が展示されています。
クマノミ繁殖を手がけたものとしてはその辺、気になるところですが、まあ、一般の見学者には関係ありません(^_^;;。みな、「ニモだ!ニモだ!」と言って喜んでいました(だから、ニモじゃねー!っつーんだけど。苦笑)
こちらはクマノミ水槽の横、二階へと上がるエスカレータの下側の狭いスペースに配置された、さらに小型の水槽のコーナー。7枚上の「ホール」の写真の右下側になります。

で、このコーナーの展示がまた、“マニア”向け(^_^;;。
 1.ヒレナガネジリンボウとテッポウエビの共生
 2.ヘコアユと、プテラポゴン・カウデルニイと、ガンカゼ
 3.オニダルマオコゼの擬態
 4.スミレナガハナダイの性転換
 5.ウズマキとタテキンの模様変わり
 6.ウツボとクリーナーシュリンプ
 7.光をエサにするオオシャコガイ
という、マニア度満点の水槽が並んでいます(笑)。

そのオオシャコガイの水槽。大きさ(殻長)が50cm以上あります。オオシャコガイの展示は日本ではここだけだそうです。

ところがあんまり大きすぎて、一般の見学者の方にはこれがひとつの貝だとは分からないみたいなんですねぇ…(^_^;;。
「なんだろうねぇ?この水槽。オオシャコガイってのは、どれかねぇ?」なんて言いながら、お婆ちゃんが通り過ぎて行きました。おーい、アンタの目の前全部、ひとつの貝ですよ(笑)。

んで、ここは名古屋港水族館ですから(笑)、ただでかいシャコガイを展示するだけで済むわけがありません。しっかり共生藻(褐虫藻)による光合成の解説パネルが設置されています(^_^;;。
でも立ち止まって読む人なし…(苦笑)

こちらは深海コーナーへの入り口。
17世紀(向かって左)と18世紀(向かって右)の潜水服が展示してありました。

深海コーナーは暗いので全く写真が取れませんでしたが(全館ストロボ使用禁止のため)、ホログラムのビデオと模型を組み合わせるなどして、非常に面白く、分かりやすい展示がなされていました。「偕老同穴」の展示などもあり。さすがは名古屋港水族館です。

こちらも深海コーナーに向かう途中の通路。
名古屋港水族館では、生物の展示だけではなく、文化的な側面から「海(や海の生き物)と人間との関わり」に着目した展示物・展示パネルなどがあり、この点も私が感心した部分です。(南館エントランスの流木の展示もその一環ね。)これからの我々には、そういう視点も大切なんですよ。

で、これは「海に棲む妖怪」の解説パネル(^_^;;。この後に、様々な古文書などに登場した妖怪の図版が展示されています。
もっともまあ、そんなもの見て喜んでるのは私だけですけどね(爆)
こちらはウミガメが飼育されている円形(ドーナツ型)プール。3Fから。
写真が上手に取れませんでしたが、上から眺めるだけではなくて、2Fでは、水中の様子を観察することも出来ます。
ウミガメプールに隣接する産卵場。ここでウミガメの繁殖をしています。
このスロープ(砂浜)の部分がウミガメの産卵場で、その奥の右側が上の写真の円形(ドーナツ型)プールです。

水族館に隣接して「カメ類繁殖研究施設」があり、名古屋港水族館は、ウミガメ研究でも日本で有数の施設なようです。
名古屋港水族館で生まれたウミガメの赤ちゃん。可愛いですね。子供たちに大人気。
こちらはペンギンプール。南極コーナーです。
「北館」は赤道の海から日本の海、深海を経て、南極へと至る、という構成になっています。

ガラスで囲まれた飼育室内は南極の気候に合わせているので、飼育員の方たちも防寒着を着用しています。
ちょうど給餌時間で、飼育員の方が個体それぞれの健康状態をチェックしながら、餌を与えていました。
こちらは出口近くのタッチ・タンク。最近の水族館にはどこにもありますね。
ヒトデ、ウニ、ヤドカリ、ナマコなどがいます。
繁殖賞を受賞した「ホンヤドカリ」と「スジエビモドキ」は、もともと、こちらのタッチ・タンクにいたものが卵を産んだそうです。
で、そのタッチ・タンクでも、解説パネルが充実しているのが名古屋港水族館(^_^;;。タッチ・タンクに、こんな立派な解説パネルが付いているのは、他では中々見られませんぜ(笑)。

奥にいて黄色のブルゾンを着ているのは「水族館ボランティア」の方たちで、市民の方がボランティアとして、水族館の運営を手伝っていらっしゃいます。
ちょうど、新人のボランティアと思われる方々が、事務所の前で、飼育員の方から館内の説明を受けているところに出会いました。
いいな〜。私も「水族館ボランティア」になりたい(さすがに名古屋までは通えないけど…(^_^;;)
何しろ県営の水族館ですから、小中学生向けの学習室(「情報ルーム」)や学習プログラムの充実しています。「情報ルーム」のガラスには、過去のプログラムでの学習成果も掲示されていました。
この辺はすっかり、小学校の理科室前みたいな雰囲気(笑)。

何せ“マニア”なんで(^_^;;、魚も飼ってますから、こういうところもしっかり見てきます。「濾過槽室」。当然のごとく、私の他に注目する人はいない(笑)。
ガラス窓越しに中が除けるだけですので、あまり参考にはなりませんが(^_^;;。

「濾過槽室」の横には「濾過システム」の解説パネルもあります。

興味深かったことは、いわゆる「レフジューム」に相当する部分を濾過システムの中に組み込んでいるという解説があったこと(図の右上、太陽に照らされている水槽)で、「ホント?」と思いましたが、詳しい解説を聞くことは出来ませんでした。残念。
こちらは全く不人気な(笑)「愛知の水産」コーナー。
弥富地方で養殖が盛んな「金魚」のほか、「海苔」「クルマエビ」「アワビ」「ウナギ」などの養殖を解説した水槽があります。ただし、誰も人がいない…。

ところが、そんな「愛知の水産」コーナーにも、他の水族館では見られない、素晴らしい展示かあります!それがこれ(↓)
ヒトデがアサリを食べる様子を
観察してください。

(って、そのまんまですが…(^_^;;)
なんと、透明アクリルボードに取り付けた網の中にアサリが入れられて、そこにヒトデが取り付いてます!!

で、ヒトデはこの後、沢山の管足をアサリの殻に密着させて、アサリの殻を無理やりこじ開け、中の身を食べてしまうのですが、私も(話には聞いていましたが)実際に現場を見るのは初めてでした(笑)。

しかし、この水槽のように、生物学的な知識をどうやって「展示」として見せるのか、その工夫には頭が下がります。素晴らしいですね、名古屋港水族館。ブラボー!!
一方、こちらは海棲哺乳類(要はイルカ・クジラの類)の展示が中心の「北館」。

こちらの一番の“呼び物”は、世界最大級(60m×30m・水深12m)の、この楕円形プールです。でかくて広いです(笑)。

ちょうどシャチの「クー」のトレーニング中でした。

あくまでも「トレーニング」ですので、ショーアップはされていないのですが、飼育員の合図に合わせて、コンビネーションジャンプなどを見せてくれます。公式なプログラムとしては一日一回。

この他に定番(?)のイルカのショーなどもありますが、そのショーも、イルカの進化の説明から始まり、イルカに芸を覚えさせる方法の解説などで構成されています。あくまでも教育的内容で、さすがは名古屋港水族館!(笑)

でもねー、公式のプログラム以外の時間でも、飼育員の人を見つけると、餌をねだって芸を見せてくれたりするわけです(^_^;;。かわいい(笑)。
そんな時には観客も少ないので、大きなシャチの姿を間近で見ることが出来ます。大サービス。
その巨大なプールの下側は、こんな感じ。これまた世界最大級の水中観測窓(29m×4m)を持つ、「アンダーウォータービュー」。

床面には柔らかなカーペットが敷いてあって、この部屋がまた、気持ち良いんですよ(^_^;;。ガラスに張り付いている子供を除いては、みんな寝てます(笑)。
でもたまにシャチの「クー」がガラス面のところまで来てくれると、寝ていたお父さんまで起き上がって、はしゃいじゃうのね(^_^;;。「おぅ、早く写真撮れ!」とか言っちゃって。
(でもストロボ禁止です。笑)
こちらは「アンダーウォータービュー」の後ろ側。海棲哺乳類の骨格標本が並べられ、進化の説明などのパネルがあります。「水族館」と言うよりは「博物館」。
シャチの骨格標本などもあったそうですが、現在(2005年4月)は、「愛・地球博」に出張中とか。
で、これは「イルカの運搬具」。こんなものの写真を撮るのは私しかいない(笑)。
こちらはベルーガ(シロイルカ)です。「オーロラの海」のプールにいます。

給餌の時間が決まっていて、簡単な芸をして見せてくれます。
ベルーガって、おでこのところのコブが前後に動くんですね。初めて知りました。びっくり(笑)。
ベルーガの親子。
奥側の灰色の個体が日本で初めて生まれたベルーガの赤ちゃんです。名前は公募の結果、「ベル」だそうで…(^_^;;。

昨年(2004年)の7/17に国内で初めて生まれ、今年初めから一般公開されていますが、「日本初」と言う割には、ふつーに公開されています(笑)。
ただし、ベルーガのプールの下側では、一般の観覧車に混じって、飼育員さんがパソコンの前に座り、ベルーガの赤ちゃんの様子を観察していました。
出産直後は24時間、休みなく、現在は1日に3時間、呼吸の回数や授乳の回数などを計測しているそうです。大変ですね。

ベルーガのプールにも、こんな体感実験コーナーがあります。さすが(笑)。
プールの水が冷たいのを感じても、それでどうだってわけでもないんですけどね(^_^;;。

こちらの「北館」にも、資料室的な部屋があり、「ディスカバリールーム」と名付けられています。一日数回、飼育員による解説があり、私もイルカの頭骨やらクジラのヒゲやら、実物を触らせてもらいました。(子供に混じって列に並ぶのは恥ずかしかったですけどね(^_^;;)
奥側で並んでいるのが、イルカの頭骨に群がる人々です(笑)。

「生き物を見せるだけではない」というのが特徴ですので、「人によって描かれたクジラたち」なんてパネルもあります。
こういう部分も名古屋港水族館の素晴らしいところだと思います。

〜 ちょっと番外編 〜

名古屋港水族館を出ると、正面に、我々の世代(1960年代生まれ)には懐かしい南極観測船「富士」。
これで南極まで行って来たんだねぇ…。

有料で船内を見学できます。
水族館とのセット券もあります。
   
まとめてひとこと
 
  • とにかくもう、エントランスからして、私はメロメロ。やられちゃいました(苦笑)。
  • 「どこが見所?」って、もう全部(笑)。
  • 館内全てストロボ(フラッシュ)使用禁止のため、思うように写真が取れなかったのがとっても残念ですが、生体保護のためだから、本来の水族館はそうあるべきなんだよね。
  • 朝から夕方まで、一日たっぷり楽しめますから、是非たっぷり時間を取って見に行って下さい。
  • 難を言えば公式サイト(ホームページ)とパンフレット。水族館の面白さを伝え切れていないぞ。更なる充実を希望!
    (まあ、公式サイトの作り方が下手なところが、いかにもお役所っぽいとこなんですけど…(^_^;;)

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