* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

海底三百ミリメートル・実践編 [7]
FAQ よくある質問

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

よくある質問です。
いままでネット上で色々な方とお話している中で、
良く質問されたことや、良く話題になったことを
Q&A式でまとめてみました。
今後も充実させて行きたいと思いますので、
他にも質問がある方は、是非、お問い合わせください。

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

◇ ◆ ◇ イソギンチャク関連 ◇ ◆ ◇

Q. イソギンチャクを飼いたいのですが、どんな種類が良いでしょうか。
A. クマノミの種類によってイソギンチャクの好みがあります。しかし、特に小型水槽での飼育を考えていらっしゃるのであれば、クマノミとの相性にこだわらず、「サンゴイソギンチャク」「タマイタダキイソギンチャク」「ロングテンタクルアネモネ(LT)」という3種類の中から、1種類を選ぶ事を、強くお奨めします。
というのは、その3種はいずれも比較的小型で、かつ丈夫であり、飼育し易い種類だからです。

カクレクマノミが最も好むのはハタゴイソギンチャクですが、状態の良い個体を入手するのが難しく、また水槽内でも大型化する種類のため、特に入門者の方にはお奨めしません。
また、海水魚ショップでも最も安価で、入手もしやすい「シライトイソギンチャク」は、他のイソギンチャクに比べて調子を崩しやすく、長期飼育が最も難しい種類ですので、いくら安価でもお奨めできません。

イソギンチャクの飼育の難易度や飼育のコツについては、このサイトからリンクしている「やまたけさん」のサイト、「Y's Aquarium」( こちらからどうぞ→ )に、10種・129個体のイソギンチャク飼育のアンケート結果をまとめたレポートが掲載されています。たいへん参考になる貴重なデータですので、是非ご覧下さい。

   
Q. イソギンチャクの導入の仕方を教えてください。
A. 魚を水槽に導入する場合と同じです。だし、水合わせはゆっくり、慎重に行ってください。特に大型のハタゴイゾン(は、30cm水槽では飼えないと思いますが)などは酸欠に弱いので、水合わせ中の酸欠対策などの配慮も必要です。
また、水合わせの際にプラケースなどを使っていると、そのプラケースの底面や壁面に、イソギンが活着してしまうことがあります。水合わせ中も活着しないように、常に気を付けてるのが一番なのですが、もし万が一活着してしまった場合には、プラケースごと水槽に沈めるなどして、無理にはがさないようにしてください。無理にはがして傷つけてしまうと、イソギンが死んでしまいます。
プラケースの底にサンゴ砂を敷いておいたり、ライブロックを入れておいたり、またはビニール袋ごとプラケースの中に入れておいたりすると、プラケースに直接、活着することが減ります。

なお、水槽の中に先にクマノミがいる場合には、水槽導入直後はクマノミと隔離しておいた方が良いかと思います。イソギンをプラケースに入れてフタをしてたものをそのまま、水槽に沈めるなどして、1週間程度は、水槽の環境に慣らしてから、クマノミと共生させましょう。ただしその際には、プラケースのメッシュ部分に水流が十分に当たるようにして、プラケースの中のイソギンが酸欠にならないように配慮してください。

   
Q. イソギンチャクが動き回り、一箇所に固定しません。どうしたら良いのでしょう。
A. 飼育されているのが「サンゴイソギンチャク」「タマイタダキイソギンチャク」「LT(ロングテンタクル)アネモネ」のいずれかであれば、結論的には諦めるしかありません(^^;;。
これらのイソギンチャクは自然の海でもしばしば移動しますので、水槽の中で完全に一箇所に固定する事は不可能だと思った方がよいでしょう。一応、ライブロックなどでイソギンが身体を隠しやすい窪みや隙間を作ってやると、そこに定着しやすいとも言いますが、それで必ず成功するものでもありません。
それでも水槽に慣れてくれば、最初期ほどには動き回らず、水流や照明の居心地の良い場所を自分で探し出して、ある程度は落ち着くようになります。それまではじっと待つしかありません。
水槽の前面などにペタッと貼り付かれると鑑賞上は非常に問題ですが、無理やり動かそうとして傷つけたりすると、それが原因で溶けて(死んで)しまったりします。そうなっては元も子もありませんから、やはり我慢するのが一番だと思います。
なお、外部式のパワーフィルターなどを併用している場合、これらのイソギンがその給水口に吸い込まれて傷ついてしまう事が良くあります。この事故を防ぐためには、予め給水口をスポンジフィルターなどでカバーしておくことをお奨めします。
   
Q. イソギンチャクが縮んでいます。大丈夫でしょうか。
A. 夜間や何か餌を与えた後など、イソギンチャクが縮んで小さくいることが、よくあります。一時的なものなら心配する事はありません。逆に、何日もずっと縮んだままと言うのは良くない状態でしょう。それだけでは判断は出来ませんが、よく観察を続けて、もし溶け始めているようなら、すぐ水槽から出して下さい。イソギンチャクが溶けてしまうと、水槽の水質が一気に悪化します。
   
Q. イソギンチャクの餌はどうしたらよいのでしょうか。
A. イソギンチャクの餌としては、アサリの身、イカの切り身、甘エビの身などを与えている方が多いと思います。いずれも生の、固形の餌が中心です。
海水魚ショップには「イソギンチャク用」として液体の餌を売っていますが、この餌を与えては、絶対にいけません。クマノミが入るようなイソギンチャクの身体は、こうした液体の餌を吸収するようには出来ていませんので、何の栄養にもならず、ただ飼育水を汚すだけです。

アサリ、イカ、甘エビいずれも、生のものを小さく切って使用すればよいと思います。中には消化を良くするためにすり潰す人もいますが、あまりにも大きな切り身を与えるなどでなければ、そこまでしなくても良いでしょう。
またイソギンが慣れてくれば、クリルなどの乾燥餌を水に戻したものも食べるようです。いずれにせよ、そんなに神経質になる必要はありません。ただし、最初から剥き身で売っているアサリや、既に「糸作り」になっているイカなどには薬品が使われている場合がりますので、そうしたものは避けてください。

ただし、イソギンチャクに餌を与えすぎると、直接、イソギンチャクの体調を崩す元になります。イソギンの大きさにもよりますが、小型水槽で飼育しているイソギンチャクであれば、甘エビをまるごと一匹とか、小さな餌でも毎週与えているとか、それでは与えすぎと思われます。
そもそも自然の海では、イソギンチャクはろくに餌など取れないはずです。餌を与えるのはあくまでもボーナス的なもので、基本は光による光合成で育てることを考えてください。

   
Q. クマノミがイソギンチャクに入ってくれません。
A. カクレクマノミが一番好きなイソギンチャクは、「ハタゴイソギンチャク」です。「サンゴ」「タマイタダキ」「LT」はいずれも、自然の海ではカクレクマノミが好んで入るイソギンチャクではありませんので、クマノミが入るまでに時間がかかることがあります。
それでも気を長く持って待っていれば、そのうちイソギンチャクの中に入るようになります。中には1年間しらんぷりだったのに、ある日突然入ったら、もうお気に入りで中々出て来ない、などということもあるそうです。ゆっくり観察して、イソギンに入る日を楽しみにしていてください。
   
Q. イソギンチャクの口から何か出ています。
A. イソギンチャクに餌を与えた後(数時間〜翌日)に、イソギンチャクの口から、餌の食べかす(=排泄物・糞)が吐き出されることがあります。それは特には問題ありません。
ただし、餌が余りに大きすぎて、よく消化出来ないで吐き出してしまうことが繰り返されたりしますと、イソギンチャクが体調が崩してしまいますので、注意して下さい。またこの時、クマノミと同居していたりすると、クマノミがその排泄物を無理やり、イソギンの口から引っ張り出すようなこともあります。これもイソギンには良くありません。

またこれとは別に、特に餌も与えていないのに、イソギンの口から何か、粘膜のような物が吐き出されている場合には、イソギンチャクが溶け出している危険があります。よく観察して、もし本当にイソギンが溶け出しているのであれば、なるべく早く水槽から取り出して、バケツなどに隔離し、新鮮な海水を入れ、強いエアレーションを掛けて、回復するかどうか、見守るようにして下さい。水槽の中に入れっ放しにしておいて、イソギンが溶けてしまうと、水質が一気に悪化して、その他の生き物も全て、全滅してしまう危険があります。
   
Q. イソギンチャクが活着(ライブロックやガラス面などに貼り付くこと)しません。
A. もしイソギンチャクがライブロックやガラス面などから離れて、活着することが出来ないような状態になっているとすると、それは危険な兆候です。

そもそもイソギンチャクというのは、海底の岩の窪みや砂底の下に隠れた岩盤などに活着して、攻撃などされた際には、岩の窪みの奥や砂の中に隠れるように出来ている生き物です。それがLRなどに活着しないでいると言うのは、人間で言えば、立ち上がることも出来ずにあえいで苦しんでいるような状態と言っても良いでしょう。状態の良いイソギンチャクであれば、とにかく周囲のどこかに活着しようとしますから、ショップで入れてくれたビニール袋から取り出してほんの数分間、放置しておくだけで、ガラス面やLR、あるいは入れておいたプラケースなどに張り付いてしまうものです。
それが水槽内に入れていつまでも活着せず、水流に漂うような状態になっているとしたら、それはイソギンが溶けて死ぬ前兆である可能性がた高いです。
   
Q. 状態の良いイソギンチャクの選び方を教えて下さい。
A. 正直、これは難しい質問です。イソギンチャクの状態の良し悪しを見極めるには時間が掛かりますので、ショップの水槽で観察出来る短い間に、イソギンチャクの調子の良し悪しを見極めることは、極めて難しいと思われます。

ただし、逆に以下のようなものは明らかに調子を落としていますので、どんなに安価に販売されていても、決して購入してはいけません。数日から数週間以内に、確実に溶けて、死亡する可能性が大です。

 1.イソギンが口を開きっぱなし
 2.活着できずに水中を漂っている
 3.口から粘液状のドロドロしたものを吐き出している

なお、上記の条件に当てはまらなくても、調子が良いとは限りません。ショップの水槽内にいるイソギンチャクの調子の良し悪しを判断するためには、十分に時間を掛けて(少なくとも1時間以上)、継続的に観察し、その間のイソギンチャクの動きをチェックすることが望ましいと思います。
   
Q. イソギンチャクが上手に飼えません。長期飼育のコツを教えて下さい。
A. 正直、「これがコツ」とは言い切ることは難しいです。一般的には十分に設備を整え、清浄な水質の維持、強い光(メタハラなど)、水温キープのためにクーラーを使用、などと言われていますが、例えば我が家の水槽では、微量元素の添加もしていませんし、NO3も高いですし、ライトも蛍光灯ですし、ついでに餌もやったりやらなかったり、クーラーもなし。と、およそ巷間で囁かれている「イソギンを調子よく飼育する条件」とは程遠い水槽ですが、ハタゴイソギンチャクもサンゴイソギンチャクも3年以上、元気に暮らしています。
ただ一つだけ気をつけるべきは夏場の高水温だと思われますが、その点さえクリア出来れば、イソギンチャクというのは意外なほど丈夫な生体なのではないでしょうか。

ですから「イソギンチャクの長期飼育のコツ」としては、

 1.とにかく状態の良い個体を入手すること。(ところがこれが一番難しい…苦笑)
 2.水温の安定(特に夏場の高水温&水温変動対策)
 3.餌を与えすぎない


という程度のことだと思います。
   

 

◇ ◆ ◇ エアレーション関連 ◇ ◆ ◇

Q. エアレーションはしなくても良いのですか?
A. 一時、「海水魚飼育にはエアレーションが不可欠である。」と言われたことがありました。しかし現在では、エアレーションによる酸素の供給効果はさほど大きなものではなく、むしろ水槽内の酸素供給には水槽内の飼育水を十分に撹拌させる大きな水流とを作る事と、水面を波立たせて空気と飼育水との接触面積を広げる事の方が重要だと言われています。(エアレーションの最大の効果は、実は水面が波立つ事だ、という考え方もあります。)
そこで私も今回の水槽においては、エアポンプを用いたエアレーションは行いませんでした。水槽の大きさや水量に対して十分大きなポンプ流量がありますので、水槽内の隅々にまで水流が発生していますし、テトラのワンタッチフィルターの優れたところは、適切な水位にセットすると非常に上手に、水面が波立つからです。
ただ、エアレーションはあっても邪魔にはなりませんから、エアレーションを施したいと思う方はエアレーションを行って下さい。ただし今回の水槽セットであれば、エアレーションの必要性自体は、あまりないとは思っています。
   

 

◇ ◆ ◇ 餌関連 ◇ ◆ ◇

Q. クマノミには、どんな餌をあげればよいでしょうか。
A. 結論としては「何でも構いません。」(^^;;。
大抵、どんな餌でも良く食べます。特に「海水魚用」に限らなくても、「淡水魚用」の餌も良く食べます。ただ、淡水魚用のみですと、海水魚に必要な不飽和脂肪酸が足りなくなる場合があると言われていますので、必ず、海水魚用の餌や、あるいは「スピルリナ」など、海産動植物の原材料を使用した餌も与えるようにして下さい。

なお、どんな餌でも良いとは言いながら、基本は人工乾燥餌にすることをお奨めします。生の餌、冷凍餌などは栄養価が低くかつ偏りがあり、消化も悪い、水が汚れる、など、多くの欠点があります。冷凍のブラインシュリンプなどばかり与えていると、水槽の中にはたちまち、赤黒い「藍藻」という“苔”が生えてきてしまいます。
それから、餌はどんな餌でも構いませんが、1種類に絞って与えるのではなく、数種類を混ぜて与えたり、時々変えてローテーションするなどして、栄養に偏りが出ないように工夫をして下さい。その辺は人間の食事と同じですよね。
   
Q. クマノミが餌を食べてくれません。
A. 健康なクマノミであれば、1週間くらい餌を食べなくても飢え死にする事はありません。ですから徒に焦る必要はありません。
ただし、クマノミは元来、好き嫌いしない、食欲旺盛な魚です。その魚が餌を食べないと言うのは、かなり良くない状態だと言えるでしょう。
水槽移動直後であれば、クマノミはまだ落ち着いていないのかもしれません。あまり刺激を与えないようにして、早く水槽に慣れてもらって、えさを食べ始めるのを待ちましょう。
またお店で買ってきた魚は、水槽の移動のために数日間、絶食をさせられていますので、それがきっかけで摂食行動に障害が起きている場合もあります。このような時には、一度、ブラインシュリンプを沸かして、孵化した幼生(ノープリウス)を与えてみてください。ブラインシュリンプの幼生の動きは魚の食欲をいたく刺激するらしく、かなりの効果が望めます。ブラインシュリンプだけでは栄養が偏ってしまうので、他の餌を食べさせる必要がありますが、一度ブラインシュリンプを食べるようになれば、それに混ぜて人工乾燥餌を与えれば、自然に食べるようになるでしょう。
   
Q. クマノミはイソギンチャクに餌を運ぶのですか。
A. はっきり言うと、運びません(^^;;。
クリルなど、大きな餌を与えた時にクマノミが餌を咥えたまま、イソギンチャクに戻る事がありますが、それはイソギンに与えるためではなくて、単に自分が安全な場所で餌を食べたいだけでしょう。実際にはむしろ、クマノミがイソギンに与えた餌を引っ張り出して食べてしまうことの方が良くあります(^^;;。
   

 

◇ ◆ ◇ 「苔」関連 ◇ ◆ ◇

Q. 水槽の中に赤茶色の「苔」のような物が生えて来ました。どうしたら良いのでしょうか。
A. 人工海水を溶かす際に、「RO+DI」などの高性能な浄水器を使用せず、水道水をカルキ抜きした水を使った場合には、水槽立上げ後、3週間〜1ヶ月くらいの間に、「茶ゴケ」と呼ばれる「苔」(=実は「珪藻」という藻類)が発生します。
これはむしろ水槽内の濾過サイクルが順調に立ち上がって来ている証拠と考えられますから、心配することはありません。対処については、
こちら→ をご覧下さい。
   

 

◇ ◆ ◇ 混泳関連 ◇ ◆ ◇

Q. クマノミは、どんな魚と一緒に飼えるでしょうか。
A. このHPに記載されている通り、30cm水槽にイソギンチャクと一緒に飼っているのなら、クマノミ2匹、ペアで入れたら、他の魚は飼えないと思って下さい。もちろん、他の魚も飼える可能性が0ではありませんが、水槽が狭すぎます。イソギンとクマノミ2匹と、その他には残餌掃除用のヤドカリが1〜2匹程度、それで十分、過密な可能性もあります。

また40cm水槽程度で飼育されている場合でも、追加できる魚は1匹からせいぜい2匹でしょう。イソギンチャクとクマノミ2匹、ハタタテハゼ×1匹(またはキイロサンゴハゼのような小型で泳がない魚が1匹)、ホワイトソックスのような観賞価値のあるエビ×1匹に、ヤドカリ数匹がいれば十分に賑やかで、楽しい水槽になると思います。
沢山の魚を入れたい気持ちは分かりますが、その場合には水槽をもっと大きなものに変えることをお奨めします。

なおペパーミントシュリンプやサラサエビ、イソギンチャクカクレエビなどは、イソギンチャクを食べてしまいます。いずれも美しいエビですが、このようなエビとの一緒に飼育するのは、よほど巨大なイソギンチャクでないと難しいと思いますので、避けてください。

   
Q. 魚以外では、どんな生き物と一緒に飼えるでしょうか。
A. 上で回答していますが、残餌を掃除させるためのヤドカリなどはお奨めです。その他、小型のエビ類や苔取り貝の類と飼育することが良いでしょう。

逆に注意すべき生き物としては、「スカンクシュリンプ」などは鑑賞上も美しいのですが、大変な大食漢ですので、狭い水槽の中ではしょっちゅう、魚の体表をつつく事になります。却って魚のストレスになりますので、お勧めしません。また、オトヒメエビなどは小型の魚を夜間に襲って食べたりしますので、これもお奨めできません。
また、ペパーミントシュリンプやサラサエビ、イソギンチャクカクレエビなどは、イソギンチャクを食べてしまいます。いずれも美しいエビですが、このようなエビとの一緒に飼育するのは、よほど巨大なイソギンチャクでないと難しいと思いますので、今回は避けてください。

なお、様々な飼育生物の組み合わせ(混泳)のやり方については、考え方をまとめてみましたので、「知識編[3]」もご覧下さい。ヒントになるかもしれません。

   
Q. クマノミは何匹まで、一緒に飼えますか。
A. 2匹までです。2匹であればペアになります。3匹目は狭い水槽、小さなイソギンチャクでは、独立した自分の縄張りを作れませんので、多分ペアになったクマノミに殺されてしまうと思います。小さな幼魚や若魚の場合には同居できますが、成長するにつれ、縄張り争いが激しくなると思いますので、避けれた方が良いでしょう。お奨め出来ません。
自然の海ではもっと大きなイソギンチャクにオス&メスのペアが一組と、未成魚が数匹、同居していますが、同じ情景を再現するにはもっと大きな水槽(少なくとも90cm以上)と、巨大なイソギンチャクが必要です。よく観察すると分かるのですが、そのように多数のクマノミが住んでいるのは、たいてい、直径が50cm以上もあるような、非常に大型のイソギンチャクなのです。
   
Q. クマノミが時々、体を横にして、痙攣(けいれん)するような動きをします。病気なのでしょうか。
A. それはしばしば“降参ポーズ”などと呼ばれて、下位のクマノミが上位のクマノミに対して示す行動です。その行動を取ることで、上位のクマノミの攻撃から逃れられるようです。
普通の、よく見られる行動ですので、何の心配も要りません。
   

 

◇ ◆ ◇ その他 ◇ ◆ ◇

Q. 水槽のガラス面に白い、小さな虫のような生き物がついています。大丈夫でしょうか。
A. ガラス面についてピコピコと動いている、白い、小さな(0.5〜1.0mm程度)生き物は、おそらく「コペポーダ」だと思っておけば間違いありません。日本語では「カイアシ類」と言います。実は「ウオジラミ」や金魚に寄生する「イカリムシ」なども「カイアシ類」の仲間なのだそうですが、ガラス面に貼りついて自由生活をしている仲間は、逆に魚やその他の甲殻類などにとって良い餌になります。ですから、そのことだけで心配することはありません。
ただし、私の経験上で言うと、ガラス面にコペポーダが大量発生しているときと言うのは、しばしば、水槽内の水流が不足している場合が多いです。(十分な水流があると、ガラス面にはりついていられなくなる。)あまり大量に発生しているなら、水流の見直しなどを考えた方がよいかもしれません。
なお、「カイアシ類」について詳しくは、↓こちらのサイトをご覧下さい。
http://home.hiroshima-u.ac.jp/fishlab/Dhaku/index.html

また「コペポーダ」の他にもっと大きな「ヨコエビ」という甲殻類の仲間(下記)が、水槽内に繁殖します。これも残り餌を食べ、魚などの良い餌になりますので、心配する事はありません。(と言うよりも、むしろヨコエビなどが沢山いる方が、より望ましい状態だと思います。)

   
Q. 水槽内に5mm〜1cm程度の大きさの、エビのような生き物がいます。大丈夫でしょうか。
A. それは「ヨコエビ」と言われる甲殻類の仲間です。ライブロックなどに潜んで、水槽内に導入されたものと思われます。魚や無脊椎動物に対して害はありませんし、むしろ、魚やその他の生物の餌になり、また、水底やLR上の残餌を食べてくれる、「お掃除屋」の役割も果たします。ヨコエビの沢山いる水槽であれば、人工餌に餌付きにくい魚でも導入出来るというメリットもありますので、何も心配はいりません。

ただし、大型のシャコ類になると話は別です。水槽内の他の生き物を襲うからです。見慣れればヨコエビとシャコを見間違えることはありませんが(^_^;;、初めて見る方には良く分からないかもしれません。Googleのイメージ検索などを使って、「ヨコエビ」「シャコ」、それぞれの姿・形を確認しておいてください。
   
Q. 水槽内にミミズのような、ゴカイのような生き物がいます。どうしたら良いのでしょうか。
A. 例えばこんな生き物でしょうか?(↓)
http://www.env.go.jp/nature/nco/kinki/kushimoto/gokai/20.htm

ジャストこれでなくても、似たような感じの、平べったいミミズの両側にトゲが生えたような生き物であれば、ほぼ「ウミケムシの仲間」と考えてよいと思います。LRの中に潜んで、水槽中に入り込みます。

もっと寸詰まりでトゲが密生しているタイプの「ウミケムシ」(↓)は、
http://www.env.go.jp/nature/nco/kinki/kushimoto/gokai/17.htm
は別名「ファイヤーワーム」と呼ばれていて、トゲに刺されると非常に痛く、危険ですが、上の写真のように細長くてトゲがまばらなタイプの毒は、さほどでもありません。私も刺された事がありますが、少々痒い程度で済みましたし、そもそも相手の逃げ足のほうが速いので、中々刺される状況にならないものです(苦笑)。

細長いタイプのウミケムシの仲間は、水槽内の他の生き物に対して深刻な被害を与えることは、まずありませんし、逆に残餌を食べてくれたり、底砂の中を這い回って通水性を保ってくれるなど、メリットもある生物ですので、特に放置しておいても構わないのですが、閉鎖的な水槽環境の中では、どんどん数が増える傾向にありますので、余りに数が増えると、鑑賞上、問題になることもあります(^_^;;。

ただし、その場合の対策と言っても、大きなものはピンセットでつまみ出し、小さなものは底砂掃除の際に一緒に吸い出すというくらいしか思い当たりません(^_^;;。私も何度か、トラップなども仕掛けたのですが、こまめに底砂掃除することに勝る対策はありませんでした。
   

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

「海底三百ミリメートル」トップに戻る
「放蕩息子の半可通信」トップに戻る

◇ ご意見・ご質問・ご批判等は掲示板、またはこちらまで ◇