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〜 『国際サンゴ礁年2008』に向けての提言 〜
(2007.06.19 UP)

2008年は、『国際サンゴ礁年』です。

マリンアクアリウムに関わる者としての立場から、積極的に、
サンゴ礁の自然環境と生態系の保全について学び、
具体的な行動を始めましょう。

 

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  すべてのマリンアクアリストと
マリンアクアリウム業界の皆様へ
弊サイトからの提言
 



今、世界中のサンゴ礁の6割近くが、
過度の衰退か、あるいは危機に直面していると推定されています。

中でも我が国、日本を含む東アジアの人口密集地帯に隣接して広がるサンゴ礁は、
経済発展に伴う開発や、サンゴ礁資源の過度の利用などによって、
世界の中でもとりわけ危機的な状況にあるのだそうです。

こうしたサンゴ礁の危機に対処するために
1994年に設立された国際組織・「国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)」では、
2006年の総会において 2008年を『国際サンゴ礁年』に定め、
ICRI に加盟する世界数十カ国で、
サンゴ礁への理解を深めてもらうための普及啓発活動や、
行政〜企業〜一般市民までの多様な主体が連携したサンゴ礁保全活動が、
積極的に展開されるよう、環境を整えることとなりました。


一方、
弊サイトの中心的コンテンツを構成するホビーマリンアクアリウムの世界は、従来、
野生生体である魚や無脊椎動物を採取して水槽飼育するという構造的な問題や、
とりわけサンゴ礁海域における破壊的採取(薬物採取など)の問題等のために、
サンゴ礁保全どころか、むしろサンゴ礁生態系の破壊者であり、
敵対者として認知されて来た経緯があります。

しかしその反面、
圧倒的大多数のホビーマリンアクアリストは、
その心性においては、むしろサンゴ礁の自然とそこに暮らす生き物を愛し、
サンゴ礁とその生態系の健全な保全を強く望むナチュラリスト(自然愛好家)なのではないでしょうか。
あるいは少なくとも、
日々、自宅水槽で繰り広げられる生き物の不思議に接することが出来るマリンアクアリストは、
(たとえそれが部分的なものであり、また特定の偏りを持ったものだとしても)
最も優れたナチュラリストとなり得る可能性(ポテンシャル)を秘めた存在なのではないでしょうか。

そうしたナチュラリスト(もしくはその予備軍)であるホビーマリンアクアリストにとっては、
サンゴ礁とサンゴ礁生態系の危機と保全とは、
決して遠い地域や異国の問題ではないし、他人事でもないと、
弊サイトでは考えています。

それは私たちマリンアクアリストにとって、
極めて身近な、自分自身の問題であって、
私たちはこれから、自らが積極的に行動することによって、
乱獲や薬物採取などをはじめとするマリンアクアリウム産業の問題点を解決すると同時に、
私たちが持つサンゴ礁生物飼育のノウハウを活用して、
サンゴ礁の自然環境と生態系の保全のために積極的に役立てる方法とを
考えて行く必要があると思うのです。

そこで、
弊サイトの作成・管理者である私、放蕩息子は、
マリンアクアリウムという趣味を愛すると同時に
サンゴ礁の自然環境と生態系とを愛する者の一人として、
この機会に、
今回の『国際サンゴ礁年2008』が、
サンゴ礁保全を視野に入れた新しいホビーマリンアクアリウムのあり方を模索する
契機になって欲しいと願い、弊サイトを通じて、
すべてのホビーマリンアクアリストとマリンアクアリウム業界の皆様に対して、
以下の提言を行ないます。

*  *  *



『国際サンゴ礁年2008』に向けての提言

1. 『国際サンゴ礁年2008』は、私たち、ホビーマリンアクアリウムに関わる全ての人間が、サンゴ礁の危機を他ならぬ自分自身の問題として受け止め、行動するための、絶好の機会です。
これを契機に、ホビーマリンアクアリウムに関わる全ての人間がサンゴ礁の危機について自ら学び、サンゴ礁保全のために自分自身は何が出来るのか、真剣に考え、行動することを始めましょう。
2. この機会を活かして、マリンアクアリウム産業の世界から、薬物採取や乱獲をはじめとする自然破壊的な企業と個人の活動を排除し、マリンアクアリウム産業界全体として、環境負荷の軽減に取り組んで行きましょう。
3. マリンアクアリウム産業やマリンアクアリストたちが蓄積した生物飼育のノウハウは、危機に瀕しているサンゴ礁の自然環境の保全や再生に活用し得る、貴重な社会的資産です。
『国際サンゴ礁年2008』を契機に、マリンアクアリウムという趣味の世界の発展が、サンゴ礁の自然環境や生態系の健全性維持に貢献できるような新しい仕組みづくりを、マリンアクアリストと業界関係者との連携の下に、模索して行きましょう。
『国際サンゴ礁年2008』に向けて
ホビーマリンアクアリウムの3つの活動テーマ


*  *  *


この『国際サンゴ礁年2008』が契機となって、
ホビーマリンアクアリウムが、従来の“悪役”としての存在を脱却し、
サンゴ礁生態系の保全・再生の推進役へと変身を遂げることを、
弊サイトは強く願います。


サンゴ礁の生態系とホビーマリンアクアリウムの持続的な発展のために、
私たち全てのマリンアクアリストと業界関係者とが心を合わせ、
手を携えて、行動を始めましょう。


2007.06.19

「放蕩息子の半可通信」
作成・管理者:放蕩息子



 

『国際サンゴ礁年2008』に向けての提言(2)
「マリンアクアリウムに関係する皆様に対する弊サイトからの具体的なお願い」

へと続く

 

参考サイト/参考ページ
 
   
国際サンゴ礁年2008
 
    『国際サンゴ礁年2008』の公式サイトです。環境省の事務局が運営しています。
環境省の事務局に対する問い合わせ/提言の窓口であると同時に、『国際サンゴ礁年2008』に関する我が国内の動向についての情報収集に際しては、基本的なサイトになります。
   
国際サンゴ礁イニシアティブ
 
    2008年を『国際サンゴ礁年2008』に定めた、サンゴ礁保全・管理を主導する国際的パートナーシップです。
世界中で40以上の国や機関が参加し、日本では、環境省が主体となって、(財)自然環境研究センターがこれをサポートし、その他の関係機関や関係者の協力を得ながら運営が行われています。
サンゴ礁の保全活動に関する各種の情報を得ることが出来ます。
   
サンゴ礁年漂流記
 
    弊サイトの作成管理者である私、放蕩息子が、『国際サンゴ礁年2008』に関する様々な行事やシンポジウム等に参加した記録と感想などを集めたページです。「放蕩見聞録」の番外編としての位置づけです。
参加した行事・シンポジウム等の内容その他を掲載している他のWEBサイト等のご紹介もしています。
   
マリンアクアリウムに関係する皆様に対する、弊サイトからの具体的なお願い
 
    当ページの「提言」に沿って、マリンアクアリウムに関係する皆様に対して、弊サイトの作成管理者である私、放蕩息子が、より具体的な「お願い」を記載したページです。
こちらもまだまだ「工事中」ですが、全体の完成までにはやはり余りにも時間が掛かりそうですので(^_^;;、「マリンアクアリストの皆様へのお願い」の部分のみ、先行公開します。

なお、以下のページは『国際サンゴ礁年2008』とは直接の関係はありませんが、
弊サイトでは2004年2月の開設当時より、ホビーマリンアクアリウムと環境・生態系保全との問題に関して、
積極的な問題提起や提言などを行って来ています。
それぞれは時事的な問題に対応してその都度作成されたために、特に体系立ったものになっていませんが、
シアン採取問題など、他のアクアリウムサイトではあまり取り上げられていない貴重な情報もあります。
この機会にそれらの問題提起や提言のページをまとめてご紹介いたしますので、
以下のコンテンツも是非一度ご覧いただき、ご意見、ご批判などいただければ、大変ありがたく存じます。

 
   
 

 “生物玩具”やアクアリウム界の“問題商法”に関するページ 

   
継続アピール  〜 生き物の“玩具”“雑貨”“消耗品”扱いに、反対の声を上げましょう! 〜
 
[主な内容]
      オカヤドカリをはじめとする“生物玩具”に反対する宣言
      アクアリウム関連の“問題商法”の具体的な事例の紹介
      飼育者/流通/発売元/マスコミに対する弊サイトからの“お願い”
      “生物玩具”に反対する他のWEBサイトのご紹介
   
 

 人工繁殖生体の自然放流問題に関するページ 

   
飼育生物の放流について  〜 飼育生物を放流することの是非 〜
 
[主な内容]
      飼育生物を自然放流した場合の問題点の指摘
続・放流について  〜“ニモ”放流」への私的評価と提言 〜
 
[主な内容]
      岡山理科大学専門学校によるクマノミ放流に関する評価と提言
      日本魚類学会「放流ガイドライン」、日本サンゴ礁学界「移植ガイドライン」の紹介
      「自然の海へと繋がる“窓”としてのアクアリウム」や、「エコ・アクアリスト」のコンセプトの提案
      愛媛県立長浜高等学校「ながこう水族館」によるクマノミ放流の評価
クマノミ繁殖を行う人々への提言  〜 誤った善意による自然破壊を防ぐために 〜
 
[主な内容]
      個人愛好家によるクマノミ放流に関する評価と提言
      ホテルの集客に利用されているクマノミ放流活動の実態の紹介
      TV局による恣意的な情報操作/報道姿勢に対する批判
放流反対緊急アピール  〜 人工繁殖生体の安易な自然放流に断固反対します 〜
 
[主な内容]
      人工繁殖生体を安易に自然放流することに反対する宣言
   
 

 薬物採集・乱獲など、アクアリウム産業の問題点等に関するページ 

   
観賞用海水魚大量養殖の影響について
 
[主な内容]
      人工養殖の海水魚が、観賞魚市場に大量流通することの影響と懸念
      イソギンチャク乱獲の実情
      アクアリストの心構えについての意見
何のための人工繁殖か
 
[主な内容]
      繁殖目的の自然生体採取に対する苦言
磯採集の是非について 〜 アームチェア・ナチュラリストへの抗弁 〜
 
[主な内容]
      アクアリストが実際に採集のフィールドに出ることのすすめ
      ショップでの“歩留まり”や“隠れたフロー”についての伝聞的情報
事前予防アピール  〜 「ファインディング・ニモ2」の制作・公開に反対します 〜
 
[主な内容]
      カクレクマノミやイソギンチャクの乱獲を引き起こした映画の影響
      事前に予測されていた環境破壊への予防策を怠った配給会社とマスコミの責任
   
 

 アクアリストに向けた提言に関するページ 

   
ホビーアクアリストのための行動ガイドライン試案(2008.03.09 追加)
 
[主な内容]
      “ナチュラリスト”予備軍としてのアクアリストに向けた、行動ガイドラインの試案
      水生生物の飼育が、“強い”ナチュラリストを育成する仕組みの説明


本ページの「提言」に対する皆様のご意見・ご批判を歓迎します。
掲示板、もしくはメールにて、ご意見をお寄せ下さい。
2008年に向けて、まず、アクアリスト間の意見交換から始めましょう。

よろしくお願いします。


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